復讐という希望を糧に〝生まれ変わった〟少年の成長と救済の物語

初っ端から頭をぶん殴られるようなトラウマ級の惨劇。
タブー視されるような子どもたちへの殺戮行為は、勇気ある表現であると同時に完全に自由なものを描いているという伸び伸びさすら感じられます。

その壮絶な地獄を経て、自らも身体を作り替えられ、生まれ変わったも同然の主人公は新しく足を踏み入れた世界の中でどのように生き、成長し、何を救うのか。期待感が高まりました。
個人的には、和風の魔術という設定が好きなのですが、まさにそれを構築してくれています。もちろん、この世界にも外国の概念があり、それぞれの国の文化に沿った魔術が登場すると思いますので、それらも楽しみです。

一見して、欠点となり得るかもしれない視点のブレは主人公が半神であるという証明にもなっているように解釈できるのが優れています。相反するような存在が同居する主人公には、自らから解離するような客観視の視点すら備わっているのだと思います。

物語にも多くの謎が散りばめられており、その中心に主人公が躍り出るであろうことは想像に難くなく、だからこそ数多く顔を見せる実力者たちと今後のどのような関係性が築かれていくのか楽しみです。

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