とにかく、何かモニター越しに湿った空気が伝わってくるような作品であることは間違いがなく、それが並み居る女性たちを翻弄するひとりの少年の手によるものという特筆すべき異常性が面白いところです。その少年の戦いはすれ違いコントのような様相を呈するどこか間の抜けた流れに思わず笑ってしまいます。
世界観の根底には、性差や上下などの差別意識にまみれた社会が描かれており、人によっては社会を凝縮したような感覚を抱くかもしれません。その中で、ひとりの少年が差別構造自体を破壊するかの如く邁進するのですが、飄々とした様子が超然としていて、それは逆に歴戦の猛者みたいな風格すらあり、普段なよなよしている少年のギャップに頼もしいと思わせられてしまうのがすごいです。
戦うべき相手が女性ということで、授けられた〝ゴミスキル〟はまさに革命を促すかのような代物で、それを手に入れた少年はまさに主人公として存在するに相応しいのかなと感じました。このスキルを持った彼以外に主人公はあり得ないと感じさせてくれます。
個人的には、行われていること一線を画すような地の文の何か淡々とした響きがすごい温度感のギャップを生み出していて、そのミスマッチが面白く感じました。この物語世界と私たちの現実世界の仲介人のような語り手がバランスを調整しているかのようで、一見すると下半身で考えられたような雰囲気の作品であるにもかかわらず、きちんと理性的なストッパーが存在していて、むしろ誠実さすら感じました。
ゴミスキルの覚醒、なんとそれはお姉ちゃんにだけ特別に効果のあるスキルだった!
と、端的に言えばこうなるのだろうか。純朴な少年、まさに弟属性の主人公にそんなスキルが加わり、敵であるはずの年上のお姉さんたちはメロメロなのである。
とはいえ過度に下品ということもなく、一線をうっかり越えてしまうようなこともなく、スラスラと読める文章で物語は進んでいく。
これは全てのお姉ちゃん好きのための、お姉ちゃんを攻略して勇者になる物語である。
どのお姉ちゃんも魅力的です、きっとあなたもイチオシのお姉ちゃんが見つかるはず。もしくは主人公に気付けば攻略されているかもしれません。
ぜひご一読ください。
正にタイトル通り。年上特攻の能力を持った少年が立ちはだかるおねーさん達を至る所(意味深)で倒していくお話。
まずスケベなシーンこそあれど過度な下品さは感じさせない文体でとても読みやすいです。視点が移り変わることもままありますが、特に違和感なく物語が進行していくのでわかりにくいってことはないので安心。
なにより主人公に嫌味がないのでイイ! 純朴で真面目な少年がただひたすらに平和を求めて戦っているだけなのでとてもいい!! 反対に少年を自分のものにしようと(意味深)する女将軍達の対比で絶妙なラブコメ、というかコメディに仕上がっています。
面白い、おすすめです。