【人物紹介】

風上晴彦かざかみはるひこ 28才

おっとりとした青年で、護の幼なじみ。

甘いものに目がない。

たまに記憶が曖昧になることがあるが、気にしていない。主人格。


壁井冬麻かべいとうま 32才

鋭い眼光のきつい印象の青年。晴彦に対して過保護。榊原に対しては晴彦のいないところで死ねばいいのにと思っている。珈琲はブラック派。非処女。

晴彦が義父から性的虐待を受けた時の衝撃で、心を守るために産み出した人格。昔はほぼ晴彦の代わりに表に出て来ていたため、幼馴染みの護とも面識がある。唯一自身の人格を知る人間だったために、護のことは信頼していたが、彼が精神科医の道に歩み始めると、自分たちのことを観察対象としてしか見ていないのではないかと不信を募らせる。

虐待の後に義父が甘いものを慰めに口に入れていた為、甘いものを食べると吐いてしまう。

最近は晴彦も落ち着いてきたので、痛みを引き受ける自分の存在は消えてもいいかなと思っていたのに、過去を知る護が余計な治療によって、昔の記憶を掘り起こさないか心配している。

あの辛い過去だけは晴彦に知ってほしくないと思っているので、すべての過去を知る護の存在を疎ましく思っている。


榊原護さかきばらまもる 28才

語り手。冬麻に恋をする晴彦の友人。紅茶を好む。長年EDに悩まされている。

義父に性的虐待をされながらも、強い意思で晴彦を守ろうとする冬麻に惹かれていく。

ただある時、義父に犯される冬麻の姿を盗み見てしまい、初めての射精をしてしまう。

大切な幼馴染み(晴彦)で好きな人(冬麻)が泣き叫びながら助けを求めていたのに、その姿に性的興奮をしてしまった自分の胸糞悪さに吐き気を催し、それから精神的勃起不全(ED)となる。

晴彦や冬麻のことをもっと深く知りたいと、精神科医を志し、現在は心療内科のクリニックを開設している。

冬麻がいらない=晴彦にとってストレスのない生活を喜びつつも、それにより冬麻の人格の消滅を一番恐れている。嫌われても望まれていなくても、冬麻が自分を警戒した段階で冬麻の存在が濃くなるので、定期的にコンタクトを取っている。自分は紅茶しかのまず、患者にはスティックタイプのインスタント珈琲を出すので、ドリップパックの珈琲は冬麻のために置いてある。


幼馴染みの晴彦の精神のためならば、冬麻の消滅を望むべきだが、自身の醜い思慕のために冬麻を失うことができず、今の関係性が行き止まりの中の幸福だと思っている。


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行き止まりの中の幸福 弥生 @chikira

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