どちゃクソ経済シミュレーション【戯曲】

空色凪

どちゃクソ経済シミュレーション

丸楠「ユリイカ! ついに吾輩は永遠平和のためのたったひとつの冴えたやりかたが分かったぞ!」


星林「丸楠先生。何がわかったと言うのですか!」


丸楠「なんだ、星林ではないか。よくぞ聞くがよい。私は全人類の救世主となるのだ! わははは!」


星林「お前の耳は籠耳か? ミーは何が分かったかを聞いたのであって、厨二病か否かを聞いたのではありませぬぞ」


丸楠「なんだ? すまぬ、聞こえなかった。それより早く資本主義の豚どもたちを集め給え! 吾輩の深遠な理論を見せびらかすのだ!」


星林「はいはい。分かりましたよ」


和親遁「なんだ、丸楠に星林。共産主義の奴隷どもが崇高なる資本主義の頂点に君臨するこの私になんのようだ?」


丸楠「いいか、よく聞け、この豚野郎。吾輩はついに、神の見えざる手を見たのだ」


和親遁「なんと? この愚者は見えざる手を見たという! なんと滑稽な。がははは!」


令官「それなである」


丸楠「なんと? よく聞こえなかった。まあよい。見るがよい! この超スーパークソデカハイテクコンピューターのクソデカスクリーンを!」


星林・和親遁・令官「こ、これは!?」


丸楠「これぞ吾輩がつくり出したバーチャル・資本主義・リアリティ(V・C・R)とバーチャル・社会主義・リアリティ(V・S・R)である! こっちの画面は資本主義、こっちの画面は社会主義の世界をシミュレーションしているのである!」


星林・和親遁・令官「な、なんだってー!」


丸楠「ちなみに今は一九〇〇年まで行ってるのである」


星林「あ、戦争始まった」


丸楠「ははは! 資本主義の世界の戦争は腑抜けておるな! これで国が発展しないのは当たり前である!」


和親遁「なにを! 社会主義では民が必要以上に苦しんでいるではないか! これでは健全な発展は望めまい!」


丸楠「健全? 笑わせるな! そもそも……」


星林「すとっぷ、すとーっぷ! 先生方、おやめ下さい! ほら、次の時代に進みそうですよ!」


丸楠「ん? 本当だ。どちらの世界でも戦争は終わったらしいであるな」


令官「何だ? 組織が出来ていく? 平和を維持するための組織か、素晴らしい!」


星林「どちらの世界でも似たような物ができたらしいな、うん? 資本主義の世界の動きが怪しいぞ!」


和親遁「まさか! また戦争か? こんなにすぐに? 組織は何をしていた?」


丸楠「がはは! 全く役に立たなかったらしいな! それに引き換え社会主義の世界は平和そのもの!」


和親遁「ぐぬぬ……」


丸楠「やあやあ! これでどちらが優れているか決まったようなものだな! よし、このまま演算速度をスーパークソハヤモードにするのである! ……なに? 両方世界が滅んだだと?」


星林「な、なんだって!」


和親遁「おやおや、先程までの余裕はどうしたのかな?」


令官「それなである」


丸楠・星林「ぐぬぬ…」


E論魔救「お前たちは一体何をやっているのだ?」


丸楠・和親遁・令官「E論魔救様!?」


E論魔救「丸楠よ。私が投資した研究、どうなった?」


丸楠「それがですね……。世界が滅んでしまいました……」


E論魔救「やはりな。世界の終末は避けられそうにないか……」


丸楠・星林・和親遁・令官「世界の終末!?」


丸楠「E論魔救様、なんのことでしょうか?」


E論魔救「私達の住むこの世界が終わるということだ」


丸楠・星林・和親遁・令官「なんだって!?」


E論魔救「そして、この世界もまた仮想現実世界だ」


丸楠・星林・和親遁・令官「なんだって!?」


E論魔救「まさか、知らなかったとはな。この世界も丸楠が研究で創ったような仮想現実世界だ。私は上の世界に行く方法を探している」


丸楠「そうだったのですか……」


E論魔救「やはり、こうするしかなさそうだな。サモン『ラプラスの悪魔』!」


ラプラスの悪魔「ゲスゲスゲス。おいらを召喚したのはお前か!」


E論魔救「左様。全知のお主なら、上の世界に行く方法を知っているはずだ。教えろ」


ラプラスの悪魔「ゲスゲスゲス。いいけど、きっと後悔するよ?」


E論魔救「なんだと?」


ラプラスの悪魔「まぁ、いいや。教えてあげる。この世界はね、アマチュア作家がおふざけで書いた小説なんだよ」


丸楠・星林・和親遁・令官・E論魔救「なんだって!?」




Fin

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