Epilogue
「でけーなあ」
俺が唐突に放った言葉に、隣を歩いていた友人は立ち止まった。
「何が」
「いや、月」
歩き慣れた道を照らす今日の月は、俺にはいつもよりも大きく見えた。
「ああ、今日スーパームーンらしいよ」
「そうだったのか」
俺は隣の友人を見やる。
「お前、知ってるか。スーパームーンの日に月に願いをかけると、願い事が叶うんだぜ」
「願い事? ああ、そういう迷信あるよね」
友人は明らかに信じていないようだった。
「信じてねえな。俺は願い叶って異国のお姫様とお忍びデートした男だぞ」
「はいはい」
軽くあしらわれてしまったが、別に信じてもらおうというわけではない。俺はあの時のことを思い出して少し笑った。俺は右手に持った缶コーヒーを飲み干すと、月に向かって叫んだ。
「いつでも来いよ! 今度はもっとすげえの見してやるからな‼」
隣の友人は驚いたようにあたりを見渡した。
「誰に言ってんだ?」
「いいんだよ、これで」
一瞬、返事が聞こえたような気がしたが、気のせいかもしれない。俺は、まだあたりを見ている友人に声をかけると、月明かりの下を歩き始めた。
「あら、それは楽しみね! 期待しているわ!」
スーパームーンの日に出会った幼女が俺から離れない レクト @lectori
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