「双子」というと、最初から「似ている」という前提がある気がします。
顔の造り、または言動、そして行動。時々同じタイミングで同じ行動をしたり、同じことを発言したりすれば、猶更そう思うことでしょう。だからこそ「双子」と一括りにしがちです。
しかし「双子」といえども、それぞれ別の人格があり、考えていることも感じていることも別のもの。同じ経験や同じ人とのかかわりがあれば似ることもあるかもしれませんが、それぞれ別の時間を過ごしているのですから当然です。
それでも「双子」には、「似ている」ことが付きまといます。
この作品ではその「双子の近さ」ゆえの苦しみが描かれていますが、最後はエピソードタイトルらしく、「ゆきどけ」のような温かな展開が待っています。
近くて遠いような存在の「双子」のお話。
気になった方は、読んでみてはいかがでしょうか。
設定は衝撃的で、出だしにその衝撃から始まります。
偶然入ったバーで女装している双子の兄と再会する。
その時の主人公と兄の反応は、生々しい。
互いにそのことを口にしないまま、周りを憚る様子は世間に対して当たり前のようでいて、当たり前であることが少し寂しくもある。
さらに、つづく衝撃は兄弟の間に決定的な亀裂をもたらしかねないものだった。でも……。
キャラクターが皆、普通の人なんだけれど、優しさもちゃんと持ってる。
特に主人公の奥さんが、すごく良い。
子はかすがい、というけれど彼女を見ていると、人は人と人のかすがいなのだと思う。
今、癒されたいなと思っている人。そんな人にお勧めします。
心温まる人間ドラマ、というにはあまりにも衝撃的な始まり方。
わだかまりを抱えた兄弟の再会から物語は始まります。
けれど兄弟は短慮な行動の末、溝を深めてしまいます。
兄と弟は、才能も嗜好も生き方も違う。つい相手を羨ましく思ってしまうのは兄弟あるあるですね。
相手の幸せそうな姿に嫉妬を覚えてしまいますが、その幸せが自分の幸せのカタチとは違うこともある。
兄には兄の、弟には弟の幸せのカタチがある。
相手の幸せのカタチを横で見ながら、嘘偽りのない自分の人生を生きるのがいいのかな。
物語最後のゆきどけには、ほろりとしてしまいました。
雪が降るからこそゆきどけがある。そのゆきどけ水は田畑を潤し、人々の飲み水となる。
憎しみや苦しさが巡りめぐって未来の幸福に繋がるのなら、過去の過ちも捨てたものではないですね。
人間の明暗を描いた素晴らしい作品がここにあります。
両親を同じくし、この地上で最も近しい遺伝子を持ち合った存在。だからこそ、その差異が余計に目についてしまう。
二卵性双生児。一卵性とは異なり、発現する特徴の差異は通常の兄弟同様に大きい。同じ母からほぼ時を同じくして生まれ落ちても。一方は兄として、他方は弟として、それぞれの立場を与えられる。
近しいのに。近しいからこそ。自分の当たり前が、彼にとっての当たり前でないことに戸惑い傷つく…
とってもハートフルな作品です。涙がボロボロこぼれて困ったことになるかもしれませんので、その点だけはお気をつけて。
この年末に、是非ともお読み頂きたいイチオシでございますっ!
双子の兄と弟。
大人になってそれぞれ違う人生を歩んでいた二人が、あるきっかけでまた顔を合わせるようになります。
過去に二人が離れた理由は、とても胸の痛くなるような出来事で。
兄弟だからこそ容易には修復できなさそうな大きな亀裂に、この再会は間違いだったのかとハラハラしてしまいます。
でも、そんな二人のもとに救世主?が現れて……。
兄弟だからこそ難しい。
一番近くにいたはずの存在が、大人になれば簡単にバラバラになってしまう。
遠くて近い、何よりも微妙な人間関係かもしれません。
では、この二人の場合は?
ぜひ、その目でお確かめください。
兄弟ならではの素敵なエンディングに、間違いなく浸ってしまうことでしょう♬