魔法の世界の神童が転移して、普通の高校生と出会う所から物語は始まります。
魔法世界では異質、そして驚異的なものでも、現代では実にありふれた物。
高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない、なんて言われますが、まさにその通り。
電子レンジやケトルを使い、ボタン一つで湯を沸かす高校生に驚いてしまいます。
高度な魔法を体得してなければ、到底同じ事は出来ない、という発想なんですね。
そのすれ違いコントが見ていて楽しい!
そして読んで思った事は、とても優しく微笑ましい魔法物語だな、ということです。
魔法やら魔術やらが絡むと、大抵は荒っぽい内容になりがちですが、ここではただただゆるふわな物語となっております。
そんなお話に興味を持ったら、是非この作品に目を通して見てください!
魔法界最後の生き残りにして最強の魔法使い<神童>ミア。
ごく普通の高校生、東雲怜。
現世に転移してきたミアが降り立った先は、とある部屋。そこにいたのは、短い刃物と盾のようなものを構えた少年だった。少年は何か言っているが言葉が通じず、魔法を使ってお互いの意思疎通が可能となる。事情を話すやいなや、お腹が鳴る。そんなミアに少年が食事を提供してくれることになった。
しかしミアがそこで見たものは、レンチン魔法!ならぬ、レンジで食品を温める怜の姿。それを未知の魔法と勘違いをしたミアが、怜にある目的のための提案を持ち掛ける。
話のかみ合わない来訪者に対して、目の前で魔法を披露された怜。
怜はミアに魔術(電子機器の使い方)を教え、ミアは怜に魔法を教えるという条件。
ここから、ふたりの同居生活が始まる――――。
毎回出て来る愛妻弁当や手料理。
魔法と科学を屈指したその調理法も読んでいて楽しい作品。
ふたりの関係もちょっとずつ変化していくのもいいです。
ミアが現代を満喫しているのも微笑ましい。
一風変わったグルメ系ファンタジー。
ミアの本来の目的は果たされるのか。
これからどう展開していくのか、期待の作品です!
ぜひぜひ ♪
少女ミアは魔法界の最後の生き残りです。
魔法界復活のための試行錯誤(というか失敗)が、魔法界と男子高校生の東雲怜(しののめれい)の自宅をつなげ、出会った二人は、魔法と魔術を教え合う師弟関係となります。
というのが冒頭部分ですが、最新話(現在、34th spell)までつながるのは、
コメディ(怜が教えるのはレンジでチンとか)
切なさ(ミアが魔法界の最後の生き残りであることなど)
の両方が合わさっていて、胸がぎゅっとなるような苦しい場面にも実は笑いが含まれていたり、声を出して笑っちゃうところに悲哀が潜んでいたりします。
どちらも! 両方がいい。
振れ幅が大きいとも言えます。
(思い返すと前作にも共通する作風の一部と思います。)
極振りみたいな切なさとコメディ、二つをまとめる作者の筆力の一端は、ミアの作る魔法の弁当箱(グルメ)にも現れています。
グルメ系が好きな方、
コメディと切なさの両方を求めている方、
ファンタジーの好きな皆さまに心からおすすめします。
異世界に住む魔法使いの少女ミアは、魔法の実験中に誤って現代社会に住む男子高校生の東雲怜の家と空間を繋げてしまった。オール電化の怜の家を目にしたミアは、怜に魔法を教える代わりに、怜の使う科学を教えるように頼み込む。かくして二人の共同生活が始まった。
学校のチャイムが昼を告げる中、フタを開けると加熱される魔法の弁当箱に入っているのは、ちょっと不思議なミアの手料理だ。
おこげの入ったハンバーグと目玉焼きのロコモコ丼
酢飯だけでなくおかずまでも巾着に入ったいなり寿司。
油そばなのに何故か上に乗るきつねあげと玉子天ぷら。
ウインナーのタコとカニとサンマが踊る焼き魚弁当。
こちらの世界の料理をあまり知らないミアが作るものは、常識外れで奇妙なところもあるけれど愛情たっぷりなんです。
戦争で天涯孤独になったミア、両親が事故で昏睡状態にある怜、ふたりとも孤独な境遇だからこそ誰かと一緒に暮らして、誰かのために料理を作るという当たり前の生活のかけがえなさが身に沁みる。
ちょっぴりダークな世界観ですが、ピュアな二人を応援したくなるボーイミーツガールです。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)