友人には、鍵を。

 カラスに身を変じることが出来る魔術師と、妖精の旅の記録。
 魔術師の研鑽を兼ねて、二人は古代遺跡に眠る騎士へ謁見を命じられていた。しかし、いくら魔術師がカラスになって妖精を乗せて飛んでも、そうそう簡単に古代遺跡にはたどり着かない。「妖精の道」と呼ばれる近道があっても、そこは人々の歴史と営みによって寸断されていた。
 そんな中、二人は目のない女性の妖精に出会う。彼女は言葉を知っていたのでやり取りは出来るものの、会話は不自然だった。鰓を持ち、水中でも息ができる彼女は、匂いで二人を判断し、鍾乳洞のような世界に誘う。
 そして、彼女は二人を試すように問いかける。
 さらに、二人の目の前で突然、裏返って……。

 果たして、二人は古代の眠りについた騎士にたどり着けるのか?
 そして彼女の役割とは?
 妖精の日記に綴られた冒険譚。

 是非、御一読下さい。