老いる女性を人知れず見守る隣人からは爽やかな薫りすら届いてきます。

「目立たずに、ひっそりと咲く室の花」
 
何やら男でも期待する健気で思わせぶりのキャッチフレーズである。
 
冒頭の一句、日が短くなって来ると、だれにも知られず、ひっそりと薄紅色のつぼみを付ける。これが女性なら素敵じゃありませんか。
 
作品を読んでいくうちに「シャコバサボテン」とは、どんな花を咲かせているのだろうか……。ふと可笑しな妄想を懐き画像を探していた。
 
きっと、サボテンだから丈夫そうで節くれだった花なんだろう。愚かですね。
ところが、作者の表現の通り薄紅色の美しい花弁をしており、まるで「植物の女王」の異名をとるクレマティスのようです。
 
日当たりの良い窓辺でたたずむサボテンは、愛犬を看取り打ちひしがれる老婆をそっと見守る大切な友人だったのかも……。
冬の寒空にとても良い余韻が残る作品でした。ありがとうございました。