受け入れ難いのは他人じゃなくて自分のクローン。呑み込みたいのは海鮮丼。

俺のクローンが寂れた漁村に彷徨う。
どういう--いいから読んで見てくれ!
と言ってしまいたくなりますね。短編です。
故郷に顔を出すのを、帰れない車をあえて選ぶまでして渋る主人公。その言い訳がましさからも実家が決して悪辣だった訳ではないことが分かります。
でも。
クローンの徘徊する田舎より、ゾンビに紛れる都会に逃げたくなるものかもしれません。
故郷と自分との関係をズドンと刺す、「クル」作品です。嘘じみない変化も良く。
海よ海よ!呑み込んでくれ--いやその海鮮丼を、呑み込ませてくれ。

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