その明かりの中にきっと君はいる。

函館山の展望台。一人の青年は未来への失意から自死を選ぼうとしていた。その目の前に二人の不思議な少女が現れる。
『函館の夜景が美しいのは、人の一生が染み込んでいるからだ』
そうして「僕」の命を函館のヒカリに変えるため、少女達と自分の人生の記憶を巡っていく。

「お星様になった」というように人の命を星々に見ることはありますが、街のあかりを美しく思うのはもしかしたらそれが人の営みの光に他ならないからかもしれません。なにか脚光を浴びるようなものでなくても、懸命に、生きている。それこそが。
きっと街のあかりがいつもより温かく、愛おしく見える。
迷いがあって再出発したい人へも、そうでなくとも。気持ちが締まって前向く。
新年の初読みにもとてもおすすめです。