エピローグ

   

 以上のように、最初はケージ近くの玄関付近で飼われていた子犬も、今ではすっかり家の中で過ごすようになった。


 まずは父と一緒に朝の散歩。朝食の後、体を洗ってもらって二階へ。少し遊んで、私と一緒にベッドで一眠り。

 目が覚めると一階のリビングのソファーへ移動。そこで私と昼まで過ごして、お昼の散歩と食事。私や父がキッチンで昼食の間は、その様子を眺めながらソファーの上でおとなしく過ごす。

 その後は夕方までソファーの上だったり、二階の遊ぶ部屋だったり。夕方になれば「くるまでお出かけ」あるいは普通に散歩。夕食後は夜遅くまでソファーで過ごし、私の入浴直前にケージの近くで一緒に遊んで、ケージに戻って朝まで眠る。


 ……これが現在の子犬の毎日だ。

 なお「ソファーで過ごす」が多いが、ソファーの上に来始めた頃と違って現在では、何度もゆかに降りてしまうようになった。ただしウロウロ歩き回って悪戯するのではなく、リビングの絨毯の上で休んだり、人間の後ろをついて歩いたり、という程度。

 数日前からは、私や父が抱きかかえて戻さずとも、私が「戻りなさい」とソファーを指さすだけで、自分からピョンと飛び乗るようにもなった。こちらの指示を理解して覚えてくれたのだから、とても嬉しい出来事だ。


 父が子犬と一緒にリビングのソファーで過ごす時は、だいたいテレビを見ている。私はパソコンで原稿などを書いたり、ソファーで横になったり。

 一応、犬が座っていても横になれるだけのスペースはあるのだが、子犬自身が眠くないのに私だけ横になると、私の体の上に乗ってきて、舐めたり噛んだりし始める。


 上述の「子犬の毎日」には書きそびれたが、時々午前中にも「くるまでお出かけ」が発生する。父が用事で午前中に出かける際、途中まで同乗させてもらい、早めの「お昼の散歩」を行うのだ。

 その際「はるのみち」に面した公園だったり「小さな池の公園」だったりの近くで降ろしてもらう場合が多い。だから遊歩道を散歩する形になり、子犬はとても楽しそうだ。


 なまじ何度かそんな機会があったため、子犬は執拗に「くるまでお出かけ」をせがむようにもなった。午前十時頃と午後二時頃になると「今日は行かないの?」と噛んだり舐めたりしてくるのだ。

 自動車に乗るのが、本当に大好きらしい。


 父は寝室にいる時、パソコンで囲碁や麻雀をしている時間が長いのだが、父の寝室はリビングと繋がっているので――襖で隔てられているが基本的に襖は開けっ放しなので――、リビングのソファーで過ごす子犬からは丸見えだ。

 犬は音に敏感な生き物だから、眠る姿勢で横になっていても熟睡していない時には、パソコンから「ゲーム終了です」的な音声が聞こえるたびに、ビクッと顔を上げる。自動車を運転するのは父なので、父の動向を気にしているのだ。

 我慢しきれなくてゆかに降りてしまう場合でも、トコトコ父の寝室まで行き、パソコンで遊んでいる父の足を噛んだり舐めたりする。「早くお出かけ行こうよ」アピールだ。


 これには父も辟易しているし、私は私で、一日中は子犬の相手をしていられない。だから一日のうち何度かケージに入れてしまう日もあるのだが……。

 それでも上述のように、ほぼ一日ずっと――散歩やお出かけ以外は――室内で過ごす、という日が増えてきたのだから、最初の頃と比べたら大きな変化ではないか。もう立派に室内犬になった、といえるのではないだろうか。


 なお、このエッセイでは「犬」とか「子犬」とか呼び続けてしまい、名前を書く機会を逸していたが……。

 うちの子犬の名前はメグという。


 カクヨムでは表紙機能がないので代わりに2022年12月1日の近況ノートに掲載しているが、


https://kakuyomu.jp/users/haru_karasugawa/news/16817330650239200691


 その表紙に使っているのが、メグがうちにやってきた日の写真だ。

 近況ノートには他にもメグの写真をたくさん掲載しており、Twitterでは写真だけでなく動画も結構頻繁に載せている。それら最近の様子と改めて見比べると、半年間の成長具合もよくわかる。

「最初はぬいぐるみみたいだったのに、ずいぶん犬らしくなったものだ」と感慨深い。

   

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ご注文は子犬ですか? 烏川 ハル @haru_karasugawa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ