騎士養成学校を、副主席で卒業した主人公。男社会の中でも、彼女の腕と美しさに敵う者など、どこにもいなかった。ところが、主人公の配属先がなかなか決まらず、焦る主人公に下された決定は、ある領主の護衛騎士として働くことだった。
しかし主人公の主である領主は、寝坊はするし、朝ごはんも間に合わず、といった怠惰で堕落した生活を送っていた。主人公は何とか彼に、領主の仕事をさせようとするが、彼の自堕落な生活は治らない。
そんな中、雨の日に領内で男の子の失踪事件が起き、そこで主人公は彼のある秘密を目撃する。そして、「死の雨」という不吉な言葉も耳にすることになった。この秘密から、主人公は彼が力の使い過ぎで自堕落な生活を送らざるを得なかったのだと理解する。
しかし、主人公と彼が訪れた社交場が何者かによって襲撃される。そして襲撃した女は「死の雨」について言及した。彼は血相を変えて、その女は殺さなければならないと言うが、主人公は取り逃がしてしまう。
そして、戦禍が領内に迫り、主人公は彼を連れて脱走を企てるのだが、そこには昔の仲間がいて——。
主人公の翠眼の秘密と、彼の能力とは?
ぐうたら領主とその女騎士は、世界を救えるか?
是非、御一読下さい。
一章まで読了した時点のレビューとなります。
まだまだ女性が社会進出しづらい時代背景の中で、女性騎士として辺境領主に仕える主人公、グレンダ。
そして彼女の主たるぐうたら領主、アルネ。
二人は出会いからしばらくは、生真面目な騎士たるグレンダが、ぐうたらなアルネのケツをひっぱたくような関係であったが、アルネの事情を知った直後からその認識を改めていく。
この緩やかで、でも確かな関係性の変化が、まるで草原を吹き抜けるそよ風のように心地よかったです。
このままじんわりと関係を深めて、睦まじい間柄になればいいなぁ、と思っているのですが、あらすじでは戦争が迫り、亡命することになるそうなんですよね……。
今後の展開がすごく気になります……。
一章途中まで読んでのレビューとなります。
【面白かった点】
あらすじにあるような逃亡劇はまだ始まっていませんが、いわゆる嵐の前の静けさでしょうか。
そんな静かな舞台――ボムゥル領や騎士学校時代に出てくるキャラクターは皆、個性があって、よく動きます。そんな彼らの会話や行動がいちいち楽しい。
【良かった点】
『ある初夏のモーニングティー』三話のアルネとグレンダのワンシーンが尊い。
このとても静的で、愛情と忠誠に満ちた描写があるからこそ、そこに到るまでの第一章が映えるというものです。
【期待している点】
あらすじにあるように戦争からの逃亡劇ですから、ある種の悲劇になるのでしょうか。
何にしてもまだ物語は始まったばかり。どうして二人が逃亡するのか。気になります。