今度の拓三はいい拓三? 本当に?

宇宙の果てから地球を侵略するためにアンゴルモアが降り立った。だが、アンゴルモアは安藤モアを名乗り、目についたアイドルの姿でこの物語の主人公、参宮拓三を誘惑する。
実は彼女には前世で拓三と結ばれなかった過去を秘めており、今世こそは拓三と自分、それに二人の子を幸せにすると意気込んでおり……。

本作だけ読んでも楽しめるポテンシャルを持っている傑作SFラブコメディだが、敢えて語りたい。過去作を呼んでいると、ラブコメなんて言葉では語り切れない恐ろしさと仄かな希望を感じさせる作りになっている。主人公であり、語り手である拓三の悲しき生い立ちと罪。そして、行うであろう、あまりに非人道的かつ自己擁護の過ぎる行動と言動。それがいつ安藤モアに牙を剥くか不安で仕方ないのだ。それでいて、今回の拓三はいい拓三なのではないか。そんな希望も感じさせる。

地球崩壊のカウントダウンとともに、侵略者と地球人の破滅的な恋を描いたスペクタクルロマンス。人間の内面の怖さと滑稽さを同時に感じさせる新感覚のラブストーリーです。

あと、誰も期待していないだろうけど、宇宙店主の登場にも注目。

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