退魔師的探偵物語

物語は何やら不穏なシーンから始まります。
まずはちゃんとこのことを覚えておいていただきたいです。
この後すぐに、学園もののシーンに移りますから、忘れちゃだめですよ。

その学園はかなり特殊な成り立ちと雰囲気を纏っている訳ですが、主人公が朝の支度を終え、登校途中に同級生と出会い、他愛ない会話を交わすうちに到着。
校門の横には学園名を書いた看板、中に吸い込まれていく生徒たち。
そうとは描写されていないのですが、まるでテレビドラマのワンシーンを見ているような感覚になりました。

こんな風にこの作者様、場面描写がとても巧みで、今どこでどんなことが起こっているのかという内容がとても自然に頭に入ってくるのです。
さらにバトルシーンとなると、擬音ばかりが紙面に踊って結局何をしているのかよく分からないようなものも散見されますが、本作は作者様の確かな文章力に裏打ちされて、戦闘の迫力は殺さず、なおその推移をしっかりと描写されています。

そして、私がとても気に入っているのは、この作者様のタイトルのセンスです。
ネタバレにならぬよう、それでも読者に期待を抱かせて、読後に「なるほどね~」と納得感を残してくれる、そんなタイトルばかりなのです。

内容については、いつもながらご自分の目で確かめていただきたいと思います。
作者様も他のレビュアーの方々も触れられている通り、魔を退けたり祓ったりする力を持つ人たちの物語です。
どうか、より多くの人たちの眼に本作が触れることを願って。

最後にひと言。
タグの「男主人公…のはず」で、ちょっと笑ってしまいました(笑)。

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