河童はこうして、さらに良い河童となったのでした

 この角川武蔵野文学賞の読者賞を受賞した物語。
 元々、海空さんの話はよく読んでいたんですが、なぜかこれだけ読んでおらず……とんだ失態でした。すごい、すごい面白い、令和の河童事情。
 この話は柳瀬川という武蔵野市を流れる川に住む河童のお話です。柳瀬側にはもともと、和尚に助けられた河童という伝説があるんですね。
 悪いことばっかりしてた河童が人間につかまり、火あぶりにされそうになったところを和尚さんが助ける。で、これからは悪いことするなよ? というと、次の日和尚さんの枕にはフナが置いてありました、というもの。
 この構成した河童たちは、今ではすごい立派な人、いや、河童に成長していたんです。
 掟を守って、しっかり川で暮らしてたわけなんですが……ある河童が、とんだ失態をしてしまって……。
 でも、そこからがすごいいい感じの話になっています。ほのぼのホカホカ、あったかい物語になってるんですね。
 一度、柳瀬川に行ってみたい。そう思える作品でした。

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