ウォー・ゲーム

大隅 スミヲ

ウォー・ゲーム

 ぼくがやっているのは、ただのゲームだった。

 VRゴーグルを装着して、ガン・コントローラーのトリガーを引く。

 画面の向こう側では、撃たれ人が次々と倒れていく。


「ハイスコア更新」

 装着しているヘッドホンから声が聞こえてきた。

 きょうも絶好調だ。

 ゲームを終了し、ゴーグルとヘッドホンを外す。


 現実世界の自分の部屋。

 目の前にあるのは1台のパソコン。

 

 1階にあるリビングでは、パパがテレビを見ていた。

 どこかの国と国が戦争をしていて、多くの戦死者が出たそうだ。

 最近の戦争は、遠隔操作のロボットを戦地へ送り込むのが主流だった。


 戦死者の数が発表された。

 その数は、ぼくの出したハイスコアと同じ数だった。


 なぜか気分が悪くなり、ぼくはトイレに駆け込んで胃の中のものを全部吐き出してしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ウォー・ゲーム 大隅 スミヲ @smee

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説