教師を育成する高等師範学校で出会う葵さんと佐久田さんの物語です。
ほんのりファンタジーがお好きな方、和風恋愛ものがお好きな方に特におすすめ。
図書委員の活動や日々のやりとりのなか、近づいていく二人の姿があたたかく、じんわり降り積もっていくような互いへの優しさがとても印象的でした。
からの後半。佐久田さんが、学校を出てからの日々は、どうしようもない現実に打ちのめされながらも、それでも前に踏み出して、その先で、らしくあった葵さんが印象的でした。
友人同士の三人娘なやりとりも癒しでおもしろく、でも彼女たちが出会ってくれてお互いに傍にいてくれて本当によかった。
終章後はごほうび回でした!(感涙)最後の最後までぜひぜひ!
私は「紅に染む」→「天と咲む」を読んだのですが、「天と咲む」→「紅に染む」の順で読むとまた印象が違うかもしれません。
※どちらも独立したお話なので、どちらかだけでも十分楽しめます。
けど、登場人物と時間軸が共通している部分もあるので、どっちも読んでほしい…!です。読んでほしいです!
あと、先生している葵さんは「甘味伯爵 聖夜祭」でも覗けるので、こちらもあわせてぜひぜひ。
最後に。個人的に性別関係なく「〜さん」呼びが大変大好きなので、終始ときめいていました。
恋愛ファンタジーが好きという方、是非お読みくださいませ。
前半は若さ溢れる両片想いに悶えられ、後半は切ない恋に悶えられますから。
そんな恋模様も、この世界だからこその恋模様。
教師という夢のための勉学と同時進行で近づく二人の心の距離にときめいて。
『お国の都合』な戦争の中、前線と国元の温度差に涙を我慢できなかった。
そんな物語に付けられた典雅なタイトル、皆様どうお読みになったでしょうか。
女優さんのお名前で知られていますが、『咲』という字は『えみ』とも読みます。花が開く様と満面の笑みを同じ文字で表すって素敵ですよね。
ということで『てんとえむ』。見上げれば広がる空、未来に向かって笑顔を向けるという、タイトル。実にぴったりなのです。
散った花びらを拾っても、元の花には戻らない。だけど、次の花が咲く。
そんなラストシーンで震えてくださいませ。
15話まで読んだレビューです。
明治・大正時代の雰囲気を漂わせる中で、異能と呼ばれる特殊な力を持つ人々が存在する世界を描く異世界ファンタジーです。
主人公は教職を目指しているものの引っ込み思案な女の子。そして彼女に別の世界を垣間見せてくれる同級生の彼との出会いから物語は始まります。
現在はその学生時代が描かれている段階です。殻を破ろうと努力する主人公、友人たちとの日々。そして、恋になりそうで辿り着くにはもうしばらくかかりそうな二人。彼らの気持ちが少しずつ近づいていく過程が丁寧に描かれています。
だけどあらすじによると、学生時代だけがメインの物語ではなさそう。物語は戦争へ向かい始め、不穏な空気が漂い始めたところです。今後起こる時代の奔流に流されていく二人。目の当たりにするのはどのような未来なのか――?
この世界観でいくつかの作品が描かれており、別作品で登場した二人の過去の物語でもあります。そう言ってしまうと手に取りづらいかもしれません。でもそれは勿体ない!
どの作品から読んでも楽しめるように描かれていますし、ここから読んだとしても別作品の登場人物も出てきたりするので、彼らが気になればそちらがメインの物語も楽しめるという。なんてお得!
読む順番により楽しみ方も変わるのもシリーズものの醍醐味。まずは連載序盤のこの作品から、ぜひ味わってみませんか。