最高のバディの香りがします!

カレノルド帝国に看板を出す花屋フランジュリア。その店主であるマシロの歯の浮くような、でもどれも心のこもった接客によってお店は常に繫盛していた。そして従業員として働く調香師のクロウ。彼は女神から祝福を賜って、超人的な嗅覚を持つ。そんなマシロとクロウが「香り」を辿って、とある事件を解決していく物語だ。

きっと、現代において一番使用されている五感は視覚だろう。視覚社会なんて言葉があるように、目に見えることを評価する時代の流れを感じる。SNSもその一種のはず。

本作は「香り」を通して、目に見えない部分の核心に触れて物語が動く。不安の香り、嘘の香り、死の香り。本質的な部分を描いているからこそ、読者の目には鮮やかに見える。

そして何よりマシロとクロウの関係性が尊い。匂いがわからない代わりに超人的な身体能力を持つマシロは、クロウが調香した香りだけは感じ取ることができる。少し物寂しいマシロの世界を豊かにしてくれるクロウのことを、彼はきっと生涯手放すことはないだろう。そして仄暗い過去を抱えたクロウも、嘘の香りがしないマシロに救われている部分が多々ある。ギブ&テイクじゃないけど、お互いにお互いが必要な存在。尊い。推しメンにふさわしい二人です。

わずか2万字の中で展開する世界観、事件、そしてブロマンス。ぜひこの感動の香りを楽しんでいただきたい。

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