後編

 前半に描いた、凄惨な殺人事件の続きを読みたいという方がいらっしゃったら、誠に申し訳ないんですが、この後編でそれを披露するというわけではございません。


 ほぼあれだけの情報量から、例えば名探偵・浅見光彦ならどう推理するでしょうか。

 それを私ごとき素人探偵ですらない者が、考察してみようと考えてしまいました。ええ、無謀ですとも。


 なぜかというと・・・実は、あの続きのプロットは出来上がっていないからです。ごめんなさい。


 名探偵が登場した方がいいのかどうかはわかりませんが、ミステリーの王道なら、誰かが推理を働かせて事件を解決しなければいけません。


 ということは、逆にいえば緻密な犯人像・犯行動機・殺害方法を考えなければ、名探偵に「俺の出番ではない」とそっぽを向かれてしまうことになります。だからそれを考えてみようというわけです。


 なんか、随分と言い訳に行数を割いているような気がします・・・。



●補完情報


 それでは考察に入りますが、その前に、大量殺人事件の内容を次のとおり補完しておきます。


①集落の人たち全員が殺され、林の中に吊されていた。(住民の数は未定)

②死体は、殺害された後に吊されている。

③殺害方法は未定。

④犯人は未定。

⑤殺害動機は未定。

⑥浅見光彦は登場しない(←ごめんなさい、無視してください)。


 あと、わざわざ吊した理由も不明です。思いつかないので。

 それでは順を追って考えてみましょう。



●殺害方法


 ①と②は決定事項なので、③の殺害方法からいきます。


 例えば刃物で刺し殺したとすると、悲鳴を上げられたりして、他の住民に気づかれて110番通報されるかもしれません。そう考えると、凶器を使って一人ずつ殺していくのは無理な気がします。


 とすると、少なくとも世帯ごとに、ほぼ同時に、わめき散らされない方法で殺すことを考えなければなりません。


 それなら即効性のある毒物で殺害するか、あるいは睡眠薬の入った飲み物を飲ませてから殺害するというのはどうでしょうか。


 毒殺の場合、これも世帯員全員が一斉に毒物を飲むなりしなければ、飲み遅れた者や飲まなかった者に毒だと気づかれてしまいます。

 よーいドンで一斉に飲ませる方法はあるのでしょうか?残念ながら思いつきません。


 睡眠薬を飲ませるのはどうでしょうか?

 全世帯に睡眠薬入りの食べ物あるいは飲み物を配る。睡眠薬だと効き目に個人差があるので、殺意に気づかれにくいかもしれません。


 飲み物に睡眠薬を入れた場合、毒物の場合と同じように、一斉に飲ませられるかという問題がありますが、食べ物の場合、例えば鍋物なんかどうでしょう。いっそのこと鍋ごと持っていけば、食事として一斉に食べてもらえそうです。


 ただその場合でも、その鍋のメインの食材が嫌いな人がいれば、食べてくれないかもしれませんが。う~ん、そこまで考えるのは止めておきましょう。



●犯人像


 ④の犯人像についてはどうでしょうか。被害者たちにとって顔見知りなのかどうか。


 「被害者たちにとって」という表現を使ったのは、犯人にとって被害者たちが顔見知りであったとしても、犯人の方が変装して、被害者たちに誰かわからないようにすることもできると思うからです。


 例えばセールスマンになりすまして、販売する食材の調理見本として、睡眠薬の入った鍋を置いていく、というのはできそうな気もします。

 でも、今どきはセールスマン自体お断りの家もありますから、やはり難しいですかね。


 とすると、犯人と被害者たち双方が顔見知りの関係でないといけないのかもしれません。例えば、以前この集落に住んでいた人とか。


 そういえば、首つり自殺に見せかけて殺すという方法が浅見光彦ミステリーでよく使われていますが、人を吊すのって一人で可能なんでしょうか?相当難しいような気がするんですが。


 ましてや、大量殺人の死体を全部吊すなんて、一人ではまず不可能でしょう。とすると、複数犯ということになりますね。


 例えば二人組だとすると、同じ殺害動機を持っているか、あるいは主従関係があって、一人がもう一人に従わざるを得ない状況にあるとか。



●殺害動機


 次に⑤の殺害動機についてですが、犯人二人、あるいは主たる犯人が大量殺人を計画するほどの動機って、何が考えられるでしょう?


 う~ん、怨恨以外には考えにくいですよね。


 でも集落の全員が恨まれるようなことって、例えば村八分(古いな)にされて、そのせいで親兄弟が自殺してしまったとか、そういう状況を想定すると、恨まれる側にも心当たりがありそうですよね。


 そんな相手からもらった食べ物を、素直に食べますかね?


 違う可能性も考えてみましょう。

 もし動機がただ人を殺してみたかった、なんていうものだったら、そんな人間が二人偶然知り合って、意気投合して殺人を実行するなんて、確率的にも全く現実的ではないですよね。

 だからやっぱり、犯人の二人には主従関係があると思うんですよ。


 主従関係の内容については、従たる犯人が殺しの片棒まで担ぐ理由は、よほどの弱みを握られているのではないかと考えられます。無差別大量殺人に加担しているんですからね。


 動機について、また別の可能性も考えてみましょう。

 殺害動機がテロだとしたらどうでしょう。テロ組織から大量に派遣されたテロリストが、例えば一世帯あたり二人ずつ配置され、各世帯員を瞬時に射殺してしまう。


 でも、テロリストがこんな片田舎で無差別テロを実行して、いったい何をアピールするんでしょう?


 いやいやそれ以前に、テロリストの犯行だったら、もうミステリーじゃなくてサスペンスですよ。私が目指しているのはミステリーなんです。



●まとめ


 というわけで、数時間考えた結果をまとめてみますと、


①殺害方法は、各世帯に毒物の入った鍋物のようなものを配って、食事時に食べさせた。

②犯人は二人組で、一人は弱みを握られていて主従関係にある。また、被害者たちとは顔見知りの関係にある。

③犯行動機は怨恨、あるいは無差別殺人という可能性もありうる。


という誠にしょーもない考察で、犯人逮捕に直接繋がりそうな情報とはいえず、事実上頓挫してしまいました。



 でも、もったいないなあ。自分としては、結構インパクトのある物語導入部だと思ったんですが。


 そこで、いよいよ名探偵の登場です。いや、出ないって。



 というわけで、誰かこのアイデア使ってくれませんかね?


 「募集」ということではありません。


 「自主企画」というのがあるみたいですが、すみません、よくわかりません。私のような弱小ユーザーが手を出せるようなものでもなさそうですし。


 もったいないので、誰か代わりに書いてくれませんかっていうだけの話です。さっきの考察にはこだわりませんし、著作権とかも主張しません。

 「書いたよ」って知らせてくれたら嬉しいですけど。



 というわけで、しょーもないお話に付き合わせてしまって申し訳ございませんでした。


 なんでこんなものを書こうと思ったのか、ある意味、それが最大のミステリーでしたね。


 おしまい。

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ナントカ集落殺人事件・・・ミステリーが書けない @windrain

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