【ショートショート】ヤタガラスの導き【2,000字以内】

やだこのヤタガラス可愛い……ってちょこんと肩に乗っちゃうとこで思いました。お話はちょっとホラーっぽくもあり、でも登場人物が良い人達なので怖さはないですね。少し切ない良い話です。しかしこの話のキモはやっぱりカラスだな。必死さが可愛い。個人的に、なんとなく漫画的デフォルメが効いた姿で脳内再生されるカラスでした。

まず、どうかお手に取って読んでみてほしいです。
「2000字以内」のレギュレーションで書かれた短編小説なので、するっと読めます。とても読みやすいです。

どことなく不穏さの漂う作中の展開と「八咫烏」の存在が暗示するものは、読み進めるうちにおよそ輪郭が読めていたのですが、しかし私は本作は面白かった、よかったと感じます。

読み終えたときの、安堵とともにすっと腑に落ちて、ああ、読んでよかったと思わしめるその一方で、この世ならざる何某の存在のほの暗さを残す、読み終わったあとのなんとも形容しがたい読後感。
ごちそうさまでした。いい短編小説でした。

ヤタガラス。それは日本神話において初代天皇、神武天皇の東征を道案内を任せられた御使いとして記述されます。
主人公はやってきた骨董品店でその姿を模った置物と関わっていきます。
主人公はヤタガラスの導きの通りに歩きますが、あるところで足を止めることに……。
ラストは必見。ヤタガラスの意味が恐ろしい意味でわかってきます。