カレーパンとして生きる

彼は考えるカレーパンである。
彼の頭に詰まっているものが、甘ったるいあんこであったなら、彼はこれほどの苦悩を味わうことはなかったのかもしれない。しかし不幸にも彼はカレーパンであった。
カレーパンとして生まれた彼はカレーパンとして生きるしかない。自分探しという名の傷心旅行で何かが見つかるわけもなく、彼はカレーパンとしての生活に戻っていくしかない。カレーパンはあんぱんになれないのである。