生産過程が高度に分業化された資本主義社会において万能の天才カレーパンマンは嘆息する。「やっぱり万能人がもてはやされたのは近世までで、現代では専門性のあるスペシャリストが重用されるよな、、、」本作はパン工場におけるカレーパンマンの知られざる苦悩と、バイキンマンの知られざる機能を明らかにした新しいプロレタリア文学である。
彼は考えるカレーパンである。彼の頭に詰まっているものが、甘ったるいあんこであったなら、彼はこれほどの苦悩を味わうことはなかったのかもしれない。しかし不幸にも彼はカレーパンであった。カレーパンとして生まれた彼はカレーパンとして生きるしかない。自分探しという名の傷心旅行で何かが見つかるわけもなく、彼はカレーパンとしての生活に戻っていくしかない。カレーパンはあんぱんになれないのである。
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