優しい世界、そして非常に読みやすい

異世界ファンタジーで、魔法やそれを応用したアイテム、あるいは「まもの」が存在する世界ですが、文化や文明は近代日本に近い(その秘密は背景設定にあるらしい…?)レベルに発展した世界が舞台。一つの殺人事件が大騒動になる程度には治安もいい世界です。暴力団めいた存在はあっても今のところ主人公の味方サイドのほうが圧倒的に強い様子で、その手の暴力描写が苦手な人にも比較的おすすめできます。

内容も良いのですが、この小説の魅力はとにかく読みやすいことです。掲載分の第9話の途中まで読みましたが、「何をやっているシーンかわかりづらくて読み返した」ということがほとんどありませんでした。また、基本的に一人称で展開される上に話によっては視点が入れ替わるのですが、特に説明がないにも関わらず誰の視点であるか迷うことはありません。これは本当にすごいことで、丁寧に書かれた小説であることがわかります。

基本的に1話単位で話がまとまりますが、「世界」の成り立ちや黒幕の影、某マスターの思惑など、長期的な引きは散りばめられており、続きが気になる構成です。筆もお早いようなので期待して待っています。

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