正解なんてない。正解の代わりに求めているのは納得なのに。

見方を変えれば正義が悪に、親切がお節介になるように、あらゆる世界は立ち位置と見方で見え方が変わってしまう。

そして、高校生くらいの年代の感性というのは時にめちゃめちゃ鋭くて核心を突いていたりするのだけれど、親からすると子供はいつまで経っても子供ですから、その感性と考え方を子供の浅知恵くらいにしか思えなかったりもするんですよね。

この物語で高校生の主人公の心を沈ませているのは、灰色にも見えるぬるい田舎町そのものであり、その田舎町を良きものと捉えている人とそうではない自分との感性の断絶的な違いを自覚したが故の孤独なのでありましょう。

見方が変われば正解も変わる。
だから、万人にとっての正解なんてないのに、正解を押し付けてくる人がいる。
求めているのは正解じゃなくて、納得なのに。

この物語は、そんな感じで共感できる人が多いかも知れません。

読み応えのある良い作品です。