海外連続ドラマを見るような、バディものエンターティメント

 この作品は、サイバーシティ×欧州系亜人間や半獣×ブロマンスバディ×サスペンスアクションという特盛の中編作品です。この特盛はただ属性を積み上げに積み上げた、という雑なものではなくとても丁寧に織り込まれており、一話で世界に入り込むことができます。

 マホロとガルガというW主人公であり、バディである二人をえがきながら、架空の近未来都市『ダイバーシティ』に起きる事件をえがいています。

 この世界は、ヴァンピール、竜人、エルフ、リザードマン、ミノタウロスなど、『亜人間』『モンスター』が市民として生きており、バディの片割れは狼の獣人ガルガ。かたやもう一人はヒューマン――いわば我々の言う『人間』マホロです。この、さまざまな『人種』のるつぼは見応えあり。その都市を事件を追い、縦横無尽に駆け回ります。

 なんといってもスピーディな追走劇が素晴らしい。緊迫感、臨場感あふれる演出に、目の前にはサイバーシティが現れ、二人が共に信頼しながら走り抜ける追走劇が楽しめます。追走劇もさながら、マホロとガルガのバディっぷりも胸躍る。遠景と近景の双方が心地よいリズムで筆致されております。

 このマホロとガルガは『相棒』でありながら『契約した主人と従者』であり、『家族』であり、一言で表すことのできない絆があります。それは痛みを伴うものでもあります。が、その絆は事件を通して変化が起き――どのようになるかは、ご覧頂いたほうがよろしいでしょう。

 むろん、魅力的な登場人物は上記の二人だけではありません。二人が所属している『ノスタルジア』の仲間たちはどれも魅力的であり名脇役としてストーリーを動かしております。マホロとガルガはバディであり強い絆がありますが、それを支えている仲間がいることもこの作品の妙味というものでしょう。

 毎話読む度に、海外の連続ドラマを見るような、良い意味での緊張感があり、次を読まずにはいられない。完結済で良かったと思わざるを得ません。――連載中であれば、次が気になって身が持たなかったでしょう。感謝に堪えません。

 個人的に大声で言いたいことですが、スネークくん、とてもかわいいです。友だちになりたい。

 このたび、レビュー企画から伺いました。この企画に参加して良かったです、素晴らしい作品との出会いを大切にしようと思います。

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