第3話「タイムリープ」ベルティーナ視点




――ベルティーナ視点――




私はこれまでに三回タイムリープしている。


一度目の人生は、王太子との初顔合わせの日に王太子に一目惚れした。


それ以来王太子に「お慕いしています殿下!」と言ってつきまとった。


王太子は金色の髪に青い目の美少年だったので、彼に群がる女は多かった。


私はそういう女を公爵家の力を使い全力で排除した。


なのに学園に入ってから王太子の周りを男爵令嬢のウィルマ・ヘルトがうろつくようになった。


ウィルマは桃色の髪と瞳の美少女だった。


だが男爵令嬢は全く礼儀作法がなっていなかった。


男爵令嬢を牽制していると、どこからともなく王太子が現れ「君の方こそ目障りだ! 僕の愛するウィルマに近づくな!」と言われてしまう。


そして私は卒業パーティーで男爵令嬢をいじめた罪を咎められ、王太子に婚約破棄された。


王太子が苛立たしげに私の罪状を述べる。


罪状のほとんどが身に覚えのないものだった。


私はただ取り巻きをつれて男爵令嬢の元に行き「あなたのような下賤なものは殿下にふさわしくありません! これ以上殿下のお心を惑わせないで!」と言っただけだ。


なのになぜか男爵令嬢を階段から突き落としたり、噴水に突き飛ばしたり、わざとぶつかって転ばせたりしたことになっていた。


罪状が増えまくっていたことに私は驚いた。


私は王太子に潔白を訴えたが信じてもらえず処刑された。






気がついたら十歳に戻っていて、王太子との顔合わせの最中だった。


過去世で私は王太子に殺されている。


一度目の人生であれほど恋い焦がれた相手だが、冤罪をかけられ殺されたときに王太子への恋心は消滅した。


王太子には嫌悪感と恐怖しか感じなかった。


そんな相手が目の前にいるストレスに耐えきれず、私はその場で気を失ってしまった。


家に帰って両親に「殿下との婚約を解消してください!」と訴えたが無駄だった。


月に一度の殿下とのお茶会は苦痛でしかなかった。


今世でも王太子に殺されるのかと不安で、王太子と会う時はビクビクしていた。


私は病弱ということにして、家に引きこもった。十五歳になっても学校に通わず引きこもりし続けた。


なのに卒業パーティーの翌日に王宮に呼び出されて、男爵令嬢ウィルマ・ヘルトをいじめた罪に問われ、王太子に婚約破棄され、処刑を宣告された。


二回目の人生の私は学校に通ってない。男爵令嬢に会ったこともない。


なのになんで会ったこともない男爵令嬢をいじめた罪に問われているの?


王太子に問うと、私が下位貴族の子息や令嬢に命じ、王太子と仲が良い男爵令嬢をいじめたことになっていた。


男爵令嬢が「私をいじめた人たちはいつも『ベルティーナ・ルンゲ公爵令嬢に命令された!』と捨てゼリフを残し去っていったわ」と証言したのだ。


引きこもりしていたのに、またしても貴族の子息と令嬢の犯した罪を押し付けられた!

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