第7話「どうしてこうなるのよ!」男爵令嬢視点・ざまぁ
三回目の人生でもベルティーナは入学してこなかった。
なんでもベルティーナは十五歳のときに失踪したらしい。
今回の王太子はフリーだ。
だが私は王太子の攻略に飽きていた。
他の攻略対象に魅了の魔法をかけることにした。
もしかしたら一人にしか魅了の魔法が効かないのかも。
二回目の人生で王太子以外に魅了の魔法が効かなかったのは、一番最初に王太子に魅了の魔法をかけてしまったからだわ。
王太子をスルーして他のキャラに魅了の魔法を使えば、私の虜になるはず。
でも私の予想は外れた。
攻略対象の宰相の息子、騎士団長の息子、保険医の先生にさりげなく近づき、魅了魔法をかけたが効かなかった。
何度も何度も試したけどだめだった。
そのうち怪しい女のレッテルを貼られてしまった。
このままだと不審者扱いされて学園を追い出されてしまう。
仕方がないからまた王太子に魅了の魔法をかけた。
王太子は簡単に魅了の魔法にかかり今回も私の虜になった。
王太子という後ろ盾を得た私を、誰も不審者扱いできなくなった。
今回は悪役令嬢のベルティーナがいないから、私はトントン拍子に王太子の婚約者に上り詰めた。
でも私は王太子の攻略に飽きていた。だからちょっと火遊びしてみた。
王太子の近衛兵にかっこいい男の子がいたから、睡眠薬を飲ませて事に及んだ。
魅了の魔法が効かないならこうすればよかったのよ。
近衛兵には私と情事に及んだことは口止めした。
子供ができたら困るから避妊薬を飲んだんだけど……避妊薬だと思って飲んだのは毒だった。
すぐに治療を受けたから一命はとりとめたけど、避妊薬だと思って飲んだなんて言えない。
だって王太子とは一回もしてないんだもの。
咄嗟に私は「ベルティーナ様の手下に毒を飲まされた!」と嘘をついた。
魅了の魔法で私の言いなりになっていた王太子は私の嘘を信じた。
そして王太子の命を受けた近衛兵が、国外に逃げていたベルティーナを捕まえてきた。
ベルティーナが死ぬ度にゲームがリセットされるから、ベルティーナはどこかで生きていると確信していたわ。
そんなわけで三回目の人生は、ベルティーナに王太子の婚約者に毒を盛った濡れ衣を着せて殺した。
四回目、王太子の攻略にはマジで飽きていた。
本当に王太子以外に魅了魔法は効かないのかしら?
あら、何かしらこのケージ?
目の前にケージが表示された。ゲームの世界だからか時々こういうことがあるのよね。
【魅了魔法:残り使用回数:ゼロ】
一回目の人生で百ぐらいあった魅了魔法の残量がゼロになっている。
まあいいわ、魅了魔法が使えないなら近衛兵の時みたいに飲み物に睡眠薬を混ぜて飲ませて、既成事実を作ればいいのよ。
☆☆☆
王太子が悪役令嬢のベルティーナとイチャイチャしてる!
その上王太子はめちゃくちゃ私に冷たい!
魅了魔法は使えないし、こうなったら睡眠薬作戦よ!
王太子には護衛がついてるから睡眠薬を盛るのは無理ね。
攻略対象の中でもガードが緩い騎士団長の息子に近づき、飲み物に睡眠薬を盛った。
だけどそれがバレて騎士団に捕まった!
私、牢屋に入れられるの?!
絶対に嫌よ!
私はこのゲームのヒロインなのよ!
大切にされる存在なのよ!
どうしてこうなるのよ!
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