第6話「乙女ゲームのヒロイン」男爵令嬢視点




――男爵令嬢・ウィルマ視点――




前世でプレイしていた乙女ゲームのヒロイン、男爵令嬢のウィルマ・ヘルトに転生した。


悪役令嬢のベルティーナの死をきっかけにリセットされるのか、何度も何度もヒロインの人生をやり直している。


ゲームにはない魅了の魔法が使えたので、王太子を落とすのは簡単だった。


入学式の日、私は王太子にぶつかることになっている。


そのときに王太子に魅了の魔法をかけるだけ。


魅了をかけたあとの王太子は私の言いなり。


どうせやり直すなら二回目以降は王太子以外のルートも楽しみたいのに、なぜか王太子以外に魅了の魔法が効かない。


それに二回目以降の悪役令嬢の様子もおかしい。


一回目の時、ベルティーナはゲームの通り悪役令嬢だった。


ベルティーナ以外の生徒にも色々と意地悪されたけど、断罪イベントのとき全部ベルティーナのせいにしてやった。


どうせベルティーナが取り巻きに命じて、やらせたことでしょう?


ベルティーナの取り巻きの罪はベルティーナの罪よ。







二回目の人生、王太子と初めて接触したとき魅了の魔法をかけた。


ハーレムルートを目指そうと思ったのだ。


ハーレムエンドにも悪役令嬢の存在は必要不可欠なのに、なぜかベルティーナは家に引きこもりしていて学校に来ていなかった。


王太子以外には魅了の魔法が効かないし、悪役令嬢は不在だし、うまくいかない。


だけど私へのいじめは起きた。


私をいじめてきたのは一回目の時、ベルティーナの取り巻きだった連中だ。


ベルティーナが取り巻き達に私をいじめさせ、自分は家に隠れていると推測した。


私は王太子に「私をいじめていた人たちが『ベルティーナ・ルンゲ公爵令嬢に命令された!』と言っていた」と嘘をついた。


私をいじめた連中は実際にはそんなセリフを言ってないけど、裏で糸を引いていたのはベルティーナに間違いないわけだし、このくらい嘘をついても問題ないわよね。


卒業パーティーの翌日にベルティーナは王宮に呼び出され、王太子に処刑された。

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