第4話「ループ三回目」ベルティーナ視点





ループ三回目。


また殿下との顔合わせの日にタイムリープしていた。


私はビクビク怯えるのはやめ、体を鍛え国を出ようと決めた。


王太子に会いたくないので領地に引きこもることにした。


王太子妃教育は過去二回受けているので、完璧のいきに達している。


なので定期的に王妃様が出すテストを受け、好成績を出すことを条件に、領地に引きこもることが許された。


平民になっても生きていけるように剣術、乗馬、格闘術、料理、裁縫、掃除……などの技術を習得した!


十五歳のとき剣とお金になりそうなアクセサリーを持って家を出た。


アクセサリーを現金に変えて船のチケットを買い、隣国に渡った。


念願の冒険者になり楽しく暮らしていた。


今回こそは幸せに暮らせる。ベッドの上で大往生出来ると思っていたのに……。


なのに……なぜか十八歳のとき祖国の兵士に捕まり、国に連れ戻された。


王太子は男爵令嬢のウィルマ・ヘルトと婚約していた。


失踪した私は王太子の婚約者から外されていた。


王太子もウィルマも幸せに暮しているみたいね。


幸せに暮らしているなら邪魔者の元婚約者なんて呼び戻すことないじゃない!


なんでもウィルマが毒を飲まされたらしく、私はその犯人にされた。


国内にすらいなかった私が犯人って、どう考えてもおかしいだろ!


私は無実を訴えたが王太子は聞く耳を持ってくれなかった……そして三回目の人生も処刑された。








そんなわけでループ四回目。


また王太子との顔合わせの時に戻っていた。


王太子の顔を見たとき、私の中でブチッと音を立てて何かが切れた。


何度も何度も何度も冤罪をかけて殺しやがって!


三回目の人生で冒険者として三年過ごしたので、言葉遣いが若干悪くなっていた。


「王太子殿下、歯を食いしばってくださいっっ!!」


「はっ?」


どうせ冤罪で処刑されるなら、ここで一矢報いてやる!


考えるよりも先に体が動いていた。


私は王太子の横っ面を思いっきりぶん殴っていた。


十歳児の腕力で殴ってもたいしたことないと思っていた。


だが私のパンチの威力はかなり強かったらしく、私に殴られた王太子は二メートルほどふっとばされていた。


もしかしたら三回目の人生で冒険者として生きたときの腕力が、今世にも引き継がれている??


知識が引き継がれるのは分かるけど、腕力が受け継がれるなんてあるの??


しかしタイムリープを繰り返すこと自体が普通じゃないんだ。


腕力が引き継がれる事もあるだろう。


私はそう思い深く考えるのを止めた。


しかし腕力が引き継がれることをもっと早くに知っていたら、王太子を殴るなんて愚行に出ず、もっと別の方法で仕返ししたのに! しくじったわ!


いくら私に冒険者時代の腕力と格闘術があるとはいえ、多勢に無勢。私はすぐに王太子の護衛に捕まってしまった。


私に殴られた王太子が起き上がり、呆然とこちらを見ている。


「この金髪クソ野郎が! くたばれ!!」


手も足もでないので、とりあえず王太子に悪態をついておいた。

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