漢(おとこ)とは、の物語。グッと来るよ!

 佳き! とにかく佳きよ〜 お勧めです!
 主人公は騎士団No.2のラウル副官、三十路に入りかけた男。その彼が、やんごとないところから持ち込まれた見合い話を受けたことから、ラウル副官が多忙を極めた先に、改めて自分自身と乳兄弟であり上司であり仕える相手でもある第三王子サリュ騎士団長との関係性を自覚し直す短編コメディ… です。
 散りばめられたエピソードが他のエピソードに無理なく繋がっていて、僭越な物言いですが、満足度の高い見事な物語となっております嬉。お勧めです! コミカライズもして欲しい〜 そんな作品です。
 語られたエピソード全てが佳きなのですが、中でも見合い相手のサラ嬢の特技、刺繍に纏わる話が佳き〜 刺繍が、淑女の嫉妬の計略的な面をさらりと描き出していました。そしてその後のエピソード、鍛錬場で男たちが乱闘を繰り広げることになった原因、モブ男の嫉妬。その醜悪さを鮮やかに際立たせるために、淑女の嫉妬エピソードがあったかー、と唸りました。嫉妬も、本編でサリュ王子がアツヒトに抱きシトエン嬢に吐露する場面は漢だなぁと感じ入りましたが、このモブ男の嫉妬には漢みゼロ、仕舞いはサラ嬢に救われトホホなものでした。
 嫁とり、という題名のパワーワードに引き摺られそうですが、そちらベクトルではなく、やはり乱闘シーンで魅せるサリュ団長とラウル副官の漢気! これは堪りません〜 ぜひともご堪能あれ〜
 そして迎えるラストのサリュ王子とラウルさんの会話。漢っていいなー! と素直に思えます。
 本編の続きも愉しみにしつつも、ラウル副官視点の話をもっと読んでみたいなぁと思いました。ありがとうございます♪

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