【第4部 最終回】天使VS悪魔の終焉
上空で戦っている、ビアンカさん・フローラさんペアとカズラ。
そんな中、誰かが高速で校庭に落下した。
私と黒空さんは、急いで校庭に向かう。
あそこに倒れているのは……、ビアンカさんだ。
「ビアンカさん、大丈夫ですか?」
私は血まみれになっているビアンカさんに声をかける。
「油断しちゃった…」
「しゃべっちゃダメです!」
黒空さんが、ビアンカさんを黙らせる。
「…これぐらいの傷なら、すぐに治るよ。私達天使は、自己治癒力が凄いんだ…」
微笑みながら言うビアンカさん。私には、満身創痍にしか見えない。
「…2人に、これを渡しておくね」
ビアンカさんは、私と黒空さんに銃を渡した。
「銃なんて、扱ったことないですよ」
的に当てるなんて、できるはずがない…。
「…これは空気銃。これでカズラちゃんの気を引いて。お願い…」
そんな責任重大なことを頼まれても…。黒空さんも戸惑っているように見える。
「このままだと、フローラちゃんが…」
ビアンカさんがそう言うので、上空を観る。
止まっている1つの点に対し、もう1つの点が激しく動いている。
重い盾を持っているフローラさんが、動き回るはずがない。
止まっている点がフローラさん、動いている点がカズラだ。
カズラがフローラさんの隙を突いたら、天使は負ける…。
「…ふぅ。さっきよりはマシになったかな。空気銃の件、お願いね」
さっきよりも傷と出血が減ったビアンカさんが、再び上空に向かう。
だけど、飛ぶスピードは遅めだ。あのままじゃ…。
「この空気銃を使うには、地上戦になってもらわないと…」
黒空さんがつぶやく。
確かにその通りだ。私達は人間だから、当然空を飛べない。
空中戦をしている天使2人の役に立てないのだ。
上空に向かったビアンカさんは、止まっているフローラさんに近付く。
2つの点が近くにあるから間違いない。
ゆっくり下降する2つの点。黒空さんの希望通り、地上戦に切り替えるのかな?
…降りる場所は、校庭みたいだ。私と黒空さんは、距離を空ける。
ビアンカさんとフローラさんが、地上に足を付ける。
間もなく、カズラも下りてきた。
「飛び疲れちゃった? 別に良いけどね。あんたらを殺すことに変わりないし」
カズラは余裕そうだ。
「先輩、大丈夫ですか?」
フローラさんがビアンカさんを気遣う。
「…何とか。剣を振り回すのは、無理そう…」
観ている限り、何とか持っているように見える。
「…あいつら、邪魔なんだけど」
カズラが私と黒空さんを睨む。
「カズラ。ビアンカさん達を殺すの止めてよ!」
私達はゆっくりカズラに近付く。
「黒空と仲良くするシオンの言う事なんて、聞く気ないわね!」
カズラは私を睨む。
もう何を言っても無駄なのかな?
「
黒空さんがさっきの空気銃を、カズラに向ける。
「銃? なんでそんなの持ってるか知らないけど、当てられるの?」
銃の知識がない私だって、当てるのは難しいことぐらいわかる。
カズラの意識が黒空さんに向いている。
ビアンカさん・フローラさんの2人は、ゆっくりカズラとの距離を詰める。
「普通の銃なら、そうでしょうね。でもこれは、悪魔に向かって自動追跡するのよ」
ハッタリをかます黒空さん。
こんな時に、そんな嘘を付けるなんて…。頭の回転が速いな。
「面白そうじゃん。撃ってみれば? …距離を詰めてるのわかってるわよ!!」
カズラが急に後ろを振り返り、天使2人を観る。
黒空さんが引き付けていたのに…。
「本当に撃って良いの?」
黒空さん、何でここで確認するんだろう?
「良いって言ってるじゃん! 」
カズラがイライラし始める。
これが狙いなのかな? イライラさせて、判断力をなくすという…。
黒空さんが、空気銃の引き金を引く。
……銃口から耳障りな音が聞こえたので、思わず耳を塞ぐ私。
黒空さんもすぐ銃を捨てて、耳を塞いだ。
悪魔になったカズラにも耳障りのようで、急いで塞ごうとする。
その一瞬のスキを観て、ビアンカさんが猛スピードで突進をする。
彼女が持っている大きな剣が、カズラの背中から胸を貫く。
「けほっ…」
大量の血を吐くカズラ。悪魔の血も赤いんだ…。
貫かれたところからも、多くの血が垂れている。
さっきのビアンカさんとは比較にならないダメージだ。もう動けないはず。
…カズラの体が、光に包まれている。何で?
「あの剣は『デビルキラー』といって、貫いた悪魔を成仏させられるんだ。普通に攻撃しても、さっきの私みたいに自己治癒で何とかなるからさ…」
ビアンカさんが説明する。
「シ…シオン…」
カズラは小さな声で私の名前を呼んだ後、光の粒子となって消えていった。
カズラ…。仲直りできずに、別れることになってしまった…。
「…今回は本当に疲れた。休憩させて」
ビアンカさんは、校庭に寝っ転がった。
「フローラさん。胡蝶蘭さんはいなくなったけど、これからどうなるの?」
黒空さんが、私も気になっていることを聴いた。
カズラのご両親が心配するはずだ。それに学校だって…。
「それは私達天使が何とかするので、2人が気にすることはありませんよ」
私と黒空さんに微笑むフローラさん。
「そそ。2人は気にせず、家に帰れば良いんだよ」
寝っ転がっているビアンカさんが同調する。
「そんな事できるはずないでしょ!? 友達が目の前で殺されたんですよ」
今でも、この天使2人が正しいことをやったという根拠がない。
黒空さんも頷く。彼女にとってカズラは友達じゃないけど、気にせず家に帰るのは無理だろうね。
「納得できる説明があるまで、帰る気ありません!」
それぐらいあっても、罰は当たらないでしょ?
「…フローラちゃん。あれ、やってくれる?」
真面目なトーンで、何かを指示したビアンカさん。
「…はい。2人は今日、カズラさんに会ってないんです。…良いですね?」
「え?」
フローラさん、急に何を言い出すの?
……めまいがしてきた。どういう事?
「起きた時、あなた達はいつも通りの日常を過ごします。安心して下さい」
訳が分からないことを聴いた後、私は意識を失った…。
起きたらベッドの上だった。時間を確認すると、14時の昼過ぎだ。
私、こんな時間まで寝てたの? …なんか記憶がはっきりしないなぁ。
それから、私はゆっくりのんびり
私には友達がいないから、家で過ごすのが当たり前だ。
友達がいない? なんか違和感がある。何でだろ?
GWが明け、私は黒空さんと教室で会った。
彼女も友達だけど、別の友達がいたような? しかも同じクラスに。
……このクラスに空席はない。気のせいなのかな?
その疑問も徐々になくなってきた。さっき、何について考えてたっけ?
お昼の時間になり、私は黒空さんと一緒にお昼を食べることにした。
気に入らないクラスメートは、強制的に異世界転移だ!! あかせ @red_blanc
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