カズラVS天使フローラ・ビアンカ
私達の元に、大きな剣と盾を持ったビアンカさんが颯爽と現れた。
これで何があっても安心、と思っていたけど…。
ビアンカさんは何故か辛そうな表情をしている。
腕も振るえているし、何があったの?
「……フローラちゃん、盾持って。私には重すぎる」
そう言って、盾を地面に置くビアンカさん。
「はい……。何ですか、これ。本当に重いですね」
フローラさんは両手で盾を持ったにもかかわらず、その感想だ。
人間の私が見ても、しっかりとした作りの盾なのはわかる。
重そうなのも伝ってくるけど、そんなに重いんだ…。
「でしょ。それを私は片手で持ってたんだよ。頑張ったと思わない?」
このやり取りを観ていたカズラが大笑いした。
「天使って、あんた達みたいなバカしかいない訳?」
「バカとは失礼だね、カズラちゃん。この剣があれば…」
ビアンカさんは大きな剣を両手持ちした。さっきの辛そうな表情はしていない。
「確かにその剣は凄そうだわ。強い力の源はそれみたいだね。でも、あんた達は大したことないでしょ」
カズラは何もない空間から短い槍を1本取り出す。
あの黒い球体以外に出せるものがあるなんて…。
「ここでやっても良いけど、シオンと黒空が邪魔だわ。…来なさい」
カズラは羽を羽ばたかせ、上空に飛翔していった。空中戦をするみたい。
…悔しいけど、私と黒空さんができることは何もない。
「シオンちゃん・葵ちゃん、後は私達に任せて。…行くよ、フローラちゃん」
「はい、先輩」
ビアンカさんとフローラさんは、カズラがいる上空に飛翔する。
この勝負、どちらを応援するべきか私にはわからない…。
悪魔になって、私に「裏切り者」と言ってきたカズラ。
だけど彼女には、私のお父さんを消してくれた恩がある。
天使が悪魔になったカズラを殺す理由がはっきりしない。
悪魔化しても、何もしなければ問題ないんじゃないの?
後々問題を起こす可能性はあるけど、その時じゃ遅いのかな?
天使には天使の事情があるから、何とも言えないけど…。
地上から上空を観る私。…何かが動いているのは見えるけど、それが限界。
判別はできない。黒空さんはどうだろう?
「黒空さん、カズラたち見える?」
私は黒空さんに訊いてみる。
「ううん、点が動いているようにしか見えないね。誰がどれなんて…」
しばらく見ていたら、点の1つが落下してきた。あれは誰なんだろう?
落下速度が速すぎてよくわからない。
やがてその点は、ものすごい勢いで校庭に落下した。
音と地響きが凄まじい。あんなの受けたら、ひとたまりもない…。
「黒空さん…」
「わかってるよ、天草さん。観に行こう」
私と黒空さんは、校門を抜け校庭を目指す。
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