この裏切り者!!

 人気ひとけがない学校前にいる、私・黒空くろぞらさん・フローラさんの元に、悪魔となったカズラが現れる。


緊張感が漂う中、カズラが口を開く。


「シオン、プライベート調査は終わったのに、何で黒空といるのよ?」

毅然とした態度のカズラ。悪魔になる前と同じだ。


悪魔に操られているだけで、その悪魔を何とかすればカズラは元に戻ると思ったけど、それはないのかな?


「それは…」

その調査をきっかけに仲良くなった、なんて言ったらカズラはどう思うか…


「黒空。あんた、シオンを脅してる訳?」


調査以前は、ほぼ接点がない私と黒空さんだ。

カズラは無理やり従わせてると思っているみたい。


「違うわ、胡蝶蘭さん。私と天草さんは、普通に仲良くなっただけよ」


「…シオン、今の本当?」

私を観るカズラ。


「…うん、本当だよ」


「何で、何でシオンが黒空と仲良くなってるのよ…」

苛立ちを見せるカズラ。


「この裏切り者!! シオン、あんたはもう友達じゃないわ!!」

カズラの手に、あの黒の球体が現れる。


「待って下さい、カズラさん。あなた、友達を消す気ですか?」

フローラさんがカズラをなだめる。


「あんたは…、昨日あたしを追ってきた天使。あんたのせいで、昨日黒空を消せなかった…」


「ちょっと待って。カズラ、フローラさんが見えるの?」


「は? 見えるに決まってるじゃん。ふざけてる訳?」


どういう事? 魔法がないと、天使は見えないんじゃないの?


「悪魔になると、天使が見えるようになるんですよ」

フローラさんが補足する。



 「あんた達3人、今すぐ消してやるわ」


そう言い終わって間もなく、カズラは空を見上げた。

何かを探すように、空を観続けている。


「強い力を感じる。どこから来るの?」

カズラがつぶやく。


強い力って何? 私は何も感じないけど…。


キョロキョロしていたカズラだけど、やがて上空のある方向を観続ける。

そこから強い力の元が来るのかな?


カズラと同じ方向を観たフローラさんが声を上げる。

「先輩です! 先輩が戻ってきます!!」


私もその方向を観るけど、何もない。本当にビアンカさんが戻ってくるの?


フローラさんがいち早く気付いたのは、天使同士ならではの何かがあるんだろう。

そうでなければ、カズラがもっと早く気付いているはずだ。


ふとカズラを観たら、彼女はさっきと同じ方向を観ながら考え込んでいる。

きっと、逃げるか応戦するかを迷っているんだろう。


「先輩、やっと戻ってきてくれたんですね」

フローラさんがそう言うので彼女を観たら、既に彼女の隣にビアンカさんがいた。


いつの間に? 気配も兆候も全く感じなかった…。

ちょっとカズラのほうを観ていただけなのに。瞬間移動でもしたの?


ビアンカさんは、大きな剣と盾を持っている。

「待たせたね。さぁ、反撃開始だよ」

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