タイトルから1話で完全に惹きこまれます。
題材が突飛なものでなく、身近な題材ということもありますが、演出が書籍モノかと思うほどに洗練されていました。
私自身が読みなれていないにも関わらず情報が過多となるわけではなく、理路整然とした流れで読み手に伝わるため、まさにこの物語を体感している、という感覚に陥ることができます。
ミステリーなので流れに任せると爽快ではないか、という気持ちと、ジッチャンの名のかけて、真実はいつもひとつ、をしたいがために隅々まで思考を巡らせたい気持ちがとてもせめぎ合い結果読み進めてしまうというとても素晴らしい作品となっています。
まだ私は序盤に触れただけですが、下手に内容を書いてこれからの読み手の方の興を削ぐことは回避したいためのレビューとなります!
今このレビューを見ている人はタイトルは目に入っていると思います。
なので1話だけ試しに読んでみてはいかがですか?
間違っていたら作者さま、ごめんなさい。物語としては「虚構推理」にちょっと雰囲気が似ている「ホラー」よりの「ミステリー」という印象を私は受けました。なので、「ミステリー」は好きだけど「ホラー」は苦手って人は、ちょっと敬遠しがちな作品なのかもしれません。
ただ「ホラー」も「ミステリー」も大好物の人には、もう、これ以上の作品は無いと思います。前半から物語を覆う「静謐」だけど「どこか不気味」な雰囲気。人間模様の「闇」。ほんと、こういう「独特」の雰囲気、「グッ」とくるんですよ。もう、前半10話で「心臓」を鷲掴みにされるような「独特」と「スペシャル」な魅力がつまった「語り口」でして、ほんと、すごいんです。
あ、もちろん、ミステリーとしても優秀でして、私は32話が、いろんな意味で大好物でした。あ、いやいや、そんなことはどうでもよくてですね。この「ホラー」テイストの「ミステリー」、あなたも読んでみませんか?
最初の数話の時点で、登場人物たちが信用できなくなっていきます。
この信用できないというのは、物語の構造上『この人物は嘘をついているかもしれない』と読者に思わせるような作りになっているからですね。
主人公は、SNS上に憧れている人物がいました。
しかしその憧れている人物が、ある日まるで殺されたような動画が投稿されて、実際行方不明になってしまいます。
主人公は、その人物と同じ学校に通っているため、憧れの人物を探すこと、および犯人探しに乗り出します。
ですがレビューの最初に触れたように、登場人物たちが信用できない人物として描かれているため、物語の全貌が霧に包まれたみたいに隠されています。
実際物語を読み進めていくと、やっぱりこの人物は嘘をついていたのか、事実を隠していたのか、という流れが連続して起きるようになります。
それでいて、嘘をついた人物には相応の事情があるので、必ずしも犯人に直結するわけではありませんでした。
しかもお互いに嘘をついているせいで、人間関係が縮まりそうで縮まらないため、事件の真実に近づくことが困難になっています。
そんな事件の手がかりは、SNSです。
実名でアカウントを運用している人、匿名でアカウントを運用している人、それぞれの立場が深く交わることによって、事件の真相にたどりつくことになります。
もしこの物語に、名探偵みたいな人物がいたら、きっと事件は早期解決していたんでしょう。しかし心身ともに未熟な人物ばかり登場するので、犯人が遠ざかってしまうのです。
逆に考えれば、未熟ゆえの危うい情報収集こそが、この物語の醍醐味です。
このレビューを読んだみなさんも、ハラハラしながら物語を読み進めていくといいと思いますよ。