硝子を引っ掻くような傷を、あなたに。

魔法少女が出てくるローファンタジー!
地球外生命体!? SF!?
とどきどきしながら読みましたが、なるほど紛うことなき現代ドラマでした。人間関係が中心です。

今でこそ「発達障害」他色々な診断名がつくようになりましたが、昔はそういったものは全て「ストレス」で片付けられていました。体に明確な影響が出てもです。
理解もされず治療もできず、取りこぼされてきて今更どうすることもできない大人達は、主人公の心情や考え方に「あの頃そうだった(もしくは今もそう)」と共感すると思います。
HPS系統の特性を持つ人は、もしかしたら少ししんどいかもしれません。

主人公だけでなく、それぞれが違った「生きづらさ」を抱えながらも、それとどう向き合っていくのか。どんな風に人と関わっていくのか。
主人公の視点を中心に、繊細な心理描写で語られていきます。
途中でもやっとしたなら、それは深く考えるチャンスです。
着地点が楽しみです。

小説を読むからには、何か残して欲しい。訴えかけてほしい。考えさせてほしい。そんな人にぴったりの作品です。

胸の内側を、がりっとやられてみませんか。

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完結したので追記します。
オチは、なるほどこの作品らしいと思いました。
すっきり! さっぱり! という後味ではないかもしれませんが、口の中でじんわり溶かしたビターチョコのような味わいを残してくれるでしょう。
是非その目でお確かめください。

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