あとがき

 ゾンビ映画を見るたびに、いつかはゾンビが出てくる小説を書きたい。そう思い続けてきた。

 2022年8月、カクヨムに登録したての私は自分のパソコンの中に書き溜めていた本作を世に出すことにした。

 この小説は特にプロットなどもなく、ただ私が映画などを見て書きたいと思ったシーンを書き連ねたものだった。

 そのため、特定の主人公はいなく、群像劇のように話ごとに主人公は変わっていっている。

 その中でも物語の軸となる人物は何人かいた。

 主人公のひとりである明智欣也は、デッドマン・ウイルスの生みの親であり、世に広めた悪魔のような男だった。物語は東京拘置所に収監された死刑囚・明智欣也からはじまる。

 次々と各地でデッドマン・ウイルスが広がっていき、人々がパニックに陥る。このシーンを書いているのが一番楽しかった。ゾンビ映画などを見ていても、最初のこのシーンが私は好きなのだ。現実が非現実となっていく、あの感じ。それを自分でも書きたいという衝動に駆られて書いていた。

 ゾンビ映画で一番好きなのは「ドーン・オブ・ザ・デッド」なのですが、これも序盤の方がたまらなく好きです。正直、ショッピングモールに立てこもる辺りからは、どうでもいいかなーって感じで。そこに行くまでのシーンがいいのです。

 ゾンビ映画も色々と見ました。ジョージ・A・ロメロの物も色々と見ましたし、バイオハザードシリーズも映画もゲームも全部見ております。

 あとは、漫画では「アイアムアヒーロー」も好きでした。映画版は酷評されていますけれど、あれはあれで良いんじゃないかなって思っています。「ゾンビになるまでにしたい100のこと」も漫画版は読んでいました。

 海外ドラマ「ウォーキング・デッド」ももちろん見ました。途中でやめましたけれども……。

 何度も繰り返してしまいますが、私はゾンビ物の最初の感染が広がっていくシーンが好きなのです。

 ただ、荒廃した街というもの好きです。映画「アイ・アム・レジェンド」の冒頭のシーンもかなり好きですね。荒廃した街を車でかっ飛ばすシーンとか。


 男はみんなゾンビ好き。

 そんな話があったりします。女性はあまりゾンビ好きではないのかな?

 ゾンビなんて腐った死体ですからねえ。

 なぜゾンビはそこまで人を魅了するのか。これは永遠のトークテーマとなりそうです。

 そもそも日本文化とゾンビというのは結びつきにくいのですよね。

 日本は火葬ですので、死体が蘇ってくるというのは少々難しいのです。

 それに日本には幽霊文化が根付いているので、人は死んだら肉体から離れて魂となってしまうという考えが強いのです。なので動く死体というのがあまりしっくりとこないのかもしれません。


 この物語を書いている途中で、奇しくも新型コロナウイルスの大流行がありました。

 感染症対策について、ガラリと考え方を変えさせられましたね。

 そして、正体不明の感染症が拡大していくと人々はどのように恐怖を覚えるのか、報道はどうなるのか、政府はどのように対策を打ち出すのか、色々と勉強になりました。

 事実は小説よりも奇なり。まさにそれでしたね。

 この事実は、今後の感染モノの小説に対して大きな影響を与えたといえるのではないでしょうか。


 物語は中盤で藤巻謙治郎という人物を登場させたことで、大きく変化を遂げました。

 この藤巻は、とある俳優さんがモデルです。言わずと知れた仮面ライダーだった人ですが、あの俳優であればサバイバルでも生き残るだろうし、ゾンビ相手に戦うだろうなって想像しながら書いていました。

「いやぁ、まいったねぇ」

 刀を振り回しながら、そんな言葉をバリトンボイスで囁いてほしいものです。


 さて、色々と書いてきましたが、物語は終わりを迎えました。

 およそ二年に渡る長期連載となり、本作はカクヨムコンや別の賞でも一次突破をすることができました。皆さん、ゾンビものが好きなのねえと思った次第です。

 まだまだ書きたいシーンはたくさんあって、色々とシーンだけをメモしてあったりするので、それをいつか小説に活かすための物語を再び書き始めるかもしれません。

 その時は、またアイツ新しい話書きはじめたよと、温かい目で見守っていただければと思います。

 約13万文字の大長編となってしまいましたが、物語はお終いです。

 ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

 また別の作品でお会いしましょう。



 2024年7月 作者

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終末のデッドマン 大隅 スミヲ @smee

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