Part.∞ うちゅうけんえつかんかせつ【宇宙検閲官仮説】

(関連用語:一般相対性理論、ブラックホール、裸の特異点、事象の地平面)

 ブラックホールってすんごい重力でなんでもかんでも際限なく吸いこんじゃうでしょ? そのまんなかには吸いこんだものをぎゅーっと凝縮しまくってひかりすら抜けだせなくなった場所があって、「特異点」っていうんだけど、特異点がブラックホールの外――たとえばどっかあのへんとかに剥きだしの状態でぽいっと存在したとしたら、無限大の重力のせいで宇宙の数式は誤作動を起こす。破綻してしまうのだ。


 宇宙検閲官仮説とは、「誰かが検閲でもしてるみたいに特異点をブラックホールのなかへ覆い隠す物理法則があるんじゃないか」っていう仮説のこと。巨大な重力が剥きだしにならないよう常に事象の地平面の内側に閉じこめて、外側の宇宙をうまいこと物理法則にあてはめ、運用する、そういう検閲官がいるのかもしれないねって話だ。


 はい、以上だよ。


 またね。


〈『自殺検閲官概説』完〉

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

自殺検閲官概説 五水井ラグ @KwonRann

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ