新たな神話の形

 実体無き知的生命、スピザイアの信仰心より生み出された神の物語。彼が語る通り、スピザイア共はどこまでも愚かで身勝手な信心をもって神を崇める(耳が痛いですね……)。しかしそんな中、他のスピザイアとは明らかに違う性質を持つ存在が現れ……、というお話。
 やはり特筆すべき点は、主人公が実質スピザイアたちの奴隷として扱われているところでしょうか。神として極めて全能に近くありながら、その実は信者たちに都合よく創造されただけの存在。どこまでも不自由で、信者共は愚かでやかましく。けれどそんな世界に辟易していたところ、たった一人、彼の心を動かす存在が現れる。
 純粋な愛に救われていく、新たな神話です。