(四)-3(了)
「納得したわけじゃないから」
翌朝、リビングのソファで寝ていた俺に、妻が朝の挨拶代わりにそう言ってきた。
気持ちの整理がつかなかった。仕事へ行く気分には全くなれなかった。しかし、行かないわけにも行かなかった。やむを得ず支度して、玄関を出ようとした。そして玄関口で愛生に声をかけられた。
「あなたの子どもではなく、あくまでも身寄りのない子を預かるだけだからね」
妻は、今日は仕事を休むことにしたという。役所に行くのだそうだ。香のために必要な書類を集め、住民票を移し、転校の手続きをするという。
(了)
ハトのリング 筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36 @HarunaTsukushi
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