第41話 ノイキャンと魔法の国
私は、一学期と同じような日々を続けた。独学で、ギターもだいぶ上手くなった。そして、冬休み直前に、私は桃太高校から呼び出された。
神谷先生と、いつもの面談室。でも、今日の面談は三人だ。
「神谷先生、私、桃太高校に戻りたいと思うんです。新しい仲間を連れて。」
「ユメって言います。私、桃太高校に編入します。そして、高校を卒業しても、モモと音楽活動をしたいと思います。」
私は、夏が終わってからの数ヶ月、ユメに日本語を叩き込んでいた。
「ノイズキャンセラーね。」
と、神谷先生。
「なんで知ってるんですか?」
私とユメが二人で驚く。
「ちょっとした向こうでの有名人よ。」
そして、冬休みの宿題を、ユメと私と由和ちゃんで頑張ることになる。
由和ちゃんとユメは、すぐにウマが合ったようだった。
そして、由和ちゃんに、私とユメが今までの魔法使いの国の秘密を話した。
由和ちゃんが信じてくれたかは分からない。でも、うんうんとうなずいてくれた。
そして、卒業式。私は、実はほとんどの生徒と話したことがないし、名前も分からない。そんな私でも、とりあえず真面目に高校を卒業することができた。神谷先生は、もしかしたら、私が卒業できるか心配してくれたのかもしれない。
ハードで楽しかった三年間。私は、アルバイトをしながら、ユメと新たな夢を見る。
「みなさん、ありがとう!ノイズキャンセラーでーす!」
どどどど、とドラムが鳴り響く。沸き上がる大歓声。
私は、初めて「生きている」という感じがした。
【完】
ギター弾きのモモ。 鈴木すず @suzu_suzuki
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