美しい思い出は時間とともに夢のようになくなってしまう

現代の高校生の一面を切り取って描いたような作品。
読みやすく実に良い。
微笑ましく、すごいなと思わされる。
比喩を多様せず、カメラで写し撮るように場面を切り取る描写。
作中に出てくる作家、村上龍の作風を想起させる。

孤高でミステリアスなKも自己顕示欲を持っていて、彼女ができたらキラキラアピールして注目を浴びたい人間になってしまったのかと、寂しく感じたのだろう。

インスタグラムに繋がっている人のほとんどが中学の同級生。
Kも中学時代の人と繋がりがあるかもしれない。
密かにKのことを思っていた女子も、インスタグラムを見て主人公同様、冷めてしまった子が少なからずいたかもしれない。

ひょっとすると、未練を終わらせるべくSNSに乗せたのかもしれない。
Kが付き合っている彼女の入れ知恵かしらん。

そのときの寂しさや悲しさ、終わってしまった青春の苦さを「苦いチョコを噛み潰し」で表現している。
こういう比喩表現は良い。