飛び立つ先は大空か、もしくは死へのループか

兵器としての航空機が開発され始めた時代。敷島皇国海軍に所属する『三木勝士』少尉は、どんなテスト飛行であろうと成功に導く、優秀なパイロットとして知られていた。しかし実際は、墜落死しようとも当日の朝に戻る<死に戻り>の力によって、命懸けの試行錯誤を繰り返しているのだった――。

第一章と二章冒頭まで読了しました。
この作品を読んでから知ったのですが、ミリタリーものとループもの作品は意外と多く存在し、根底のアイデアとしては実は王道だったりするのかなと感じました。ですが『何度も墜落して、それでも死に戻ってテスト飛行を成功させる』という設定は、個性があったり独自の発想であるなと個人的には思いました。
作者さんの知識と情熱が注ぎ込まれている航空機の描写は緻密であり、『皇国』『大戦』『爆撃機』といったワードに興味を惹かれる人であれば、きっと満足する内容になっていると思います。

しかし特定の読者層にしかウケそうにない内容かというと、そうでもありません。架空の戦記ものなので文体は硬めであり、専門用語なども多々登場しますが、読みにくさや『コアなオタク向け』といった印象はそれほど抱きませんでした。
<死に戻り>の力があろうとやっぱり死ぬのは嫌だと思っている勝士や、幼馴染ヒロインである露子など、魅力的な人物達が登場する部分でも、読みやすさを押し上げているのかなと思います。

まだまだ物語は始まったばかりであり、どんなバリエーションの飛行機と共に勝士が死んでいくのか(酷い)、露子と協力して困難を乗り越えていくのか、もしくは新たな戦争が始まってしまうのかなど、今後の展開に期待です。伸びしろや期待値に溢れているという意味合いで、星2とさせて頂きます。