水アレルギー

ツヨシ

第1話

私の彼女は厄介なアレルギー持ちだ。

水アレルギー。

数億人に一人しかいないとい言われている。

皮膚しか反応しないが、雨はもちろんのこと、入浴は基本出来ないし、自分の汗でもアレルギー反応が起きる。

日常生活に大いに支障があるのだ。

――結婚したら、どうなるんだ?

考えてみても、手助け以上のことはできない。

もちろん普通の妻よりも、いろいろと苦労が多そうだ。

それでも私は結婚を申し込んだ。

答えは「はい」だった。

しばらくして、あと一か月でほど結婚と言う時のことだ。

彼女が死んだ。

彼女が近道だと言う道のすぐそばにある池に落ちて。

池で死んだが溺死ではない。

水に入った時のアレルギー反応が強く、身体が耐えられなかったのだ。

悲しみと絶望しかない。

それでも私はそのまま生き続けた。


彼女が死んで少し経ったある日のこと。

その日は雨。

豪雨と言ってよかった。

私はふと彼女の住んでいた家に行ってみた。

こんな雨の日に。

すると家の庭先に彼女がいたのだ。

彼女は雨にずぶぬれになりながら、踊っていた。

いかにも嬉しそうに。


       終

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

水アレルギー ツヨシ @kunkunkonkon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ