「写真」と「絵」、どちらが優れているか……。究極の対決の結末は⁉

 写真家の絵茉と油絵画家の映伴のお話です。

 二人は全く接点がなかったのですが、お互い自分の作品の題材にしようとしていた紫陽花園で出会います。写真家の絵茉は、画家である映伴とあまり接点を持ちたくないようでしたが、映伴の方が絵茉へ少しずつ歩み寄ります。

 作品を読むと、絵茉が彼に近づきたくなかったのは、彼女自身「自分が目指して挫折した絵の道を、彼が堂々と歩いていることが引け目になっているからではないか」と思いますが、それが作品の最後にも絡んでくるので注目です。

 また、この作品は面白い対立構造になっていてそれも見どころです。特に「写真」と「絵画」の対立はとても興味深いです。これらの題材に少しでも興味がある方は楽しめると思います。
 写真や絵も登場しますが、当然読者はそれを見ることはできません。しかし作者さんの独特な表現の仕方によって、まるで目の前で見ているかのように、写真や絵に惹き込まれるような感じがします。

 他の作品とは一風変わった仕立てになっている作品。
 気になった方は読んでみてはいかがでしょうか。

その他のおすすめレビュー

彩霞さんの他のおすすめレビュー410