裸になることの葛藤

今まで一度も男性の前で裸になったことのない女子高生が、自らヌードモデルを申し出る話。
全編が女の子の一人称視点で語られます。

あくまでも真面目なモデルとしてストイックに接する先輩に感心する一方で、性的に見られないことを寂しがったり。
このあたりの葛藤の描写がとても見事だと思いました。

女性ヌードモデルを題材とした小説は、女性がどのような心境で裸になっていくのかが見どころの一つですが、本作では服を脱いでいく過程がとても丁寧に描写されています。
「丁寧に畳んだ制服の上下に下着と靴下を挟んで」「真っ先にスカートを履いた後に下着を履いた」とか、着替えるときの細かい描写もとてもリアルな感じです。
せっかく気合の入った下着をつけてきたのに、ろくに見てくれない先輩に「見て」とアピールもできるほど成熟してもいないんですよね。

体も心も裸にされた主人公は、最後までプラトニックなままで終わります。
二人の関係はこれで終わりではなく、あくまでも余韻を残しながら。
果たして彼女は先輩に思いを伝えることができるのでしょうか。
そして、先輩は本当にプラトニックな目線のみで彼女を見ていたのでしょうか。答えは読者の中にあるのでしょう。