奔放なる生と性のロマン

主人公は、略奪した姫を性奴隷にする傭兵団長。セクハラに強姦に売買春も上等。
性描写も暴力描写も豊富、なのに、なぜかほのぼのした雰囲気さえ感じさせる不思議な作品。
それはひとえに、主人公が単なる無法者ではなくきっちりと筋を通す好漢であることと、本作における「性」そのものが極めて明るく描かれているからでしょう。

男女とも、本当に楽しそうにセックスします。相手は本命だったり、愛人だったり、娼婦(男娼)だったり。
純粋に楽しむ場合もあれば、第三者に対する挑発であったり、時には交渉手段、懲罰、ご褒美であったり。
団員同士の性行為も当たり前で、そこらじゅうに穴兄弟や竿姉妹がいる集団です。
彼らにとって、セックスというのはコミュニケーションの一つ。命を預ける相手だからこそ、体一つで向き合えるのかも知れません。
本作では同性愛そのものは直接描かれないのですが、戦国時代の衆道というのは、あるいはこのような関係であったのかも、と思わされました。

メインヒロイン(?)の王女様も最初は泣かされますが、次第にこの団の雰囲気に飲まれ…いや、取り込んでいきます。
団内の階級と規律は絶対。でも、一たび男と女として向き合えば…?

死と隣り合わせの男と女たちによる、現代日本人では絶対わかり合えない、でもどこかで憧れてしまう独特な性倫理の世界を垣間見させてくれる、怪作です。

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