大好きな先輩に一糸まとわぬ姿を描かれることになった私ですが。
ネイト二世
Closed room, get closer
なんでこんなことになったのだろう。
私は今、大好きな先輩の目の前で一糸まとわぬ姿となっている。
それも二人きり、鍵が閉められた密室の中で。
恋仲はおろか、まだこの想いすら伝えていないというのに。
そう、こうなったのもすべて私が軽率に言った言葉のせいだった。
「悪いね、美術部の買い出しを手伝わせちゃって」
四日前、私と先輩は両手に紙袋を持って高校の廊下を歩いていた。その空気感を側から見ればただ部活か委員会の用事をこなしているだけの二人組の男女でしかない。……私の胸中を抜きにすれば。
「いえ、いいんです。……あの日助けてくれたお礼を、いつかちゃんとしたかったから」
冒頭に至った経緯を話すにはまず、私が彼を好きになった切っ掛けから話すのがいいだろう。あれは、一ヵ月ほど前の放課後の出来事であった。
あの日はちょっとした校内行事の後片付けを一年生が担当することになっていた。だが運悪く私の班の多くは反りが合わない性質の男女であり、彼らはさっさと帰宅すべくどちらかというと文化系で地味な私に体の良い理由で全ての作業を押し付けた。
仕方ない、片付けなど一人でも大して時間はかからないだろうと高を括っていた私は、本来八人で協力して行うはずだった作業がどれほど途方もないものかを思い知らされた。
その日は部活動も行われずに二年生以上の生徒はすぐに帰宅し、他の一年生も持ち場を片づけた後に現地解散となって学校を去っていった。夏の太陽が傾き始めてもなお、私は人気のない廊下でひたすらに掲示物を剥がしていた。
「あれ、どうしたの?」
そんな私の前に突如として現れたのが彼だった。上履きの色を見るに学年は二つ上で、顔立ちはそこそこ端正だったが柔和でどこか野暮ったい雰囲気は私の好みから外れていた。何故まだ三年が残っているのかを聞くと、部室に一人残って作業をしていたと答えた。
「それ、まだかなり残ってると思うけど大丈夫?」
大丈夫です、とだけ答えて作業を続けた。だが彼はしゃがんでいる私を見下ろしたまま無表情で続けた。
「でもその量を一人で終わらせんのは難しくない? 他の人と一緒にやってたんじゃないの? ねぇ、本当に大丈夫なの?」
見抜かれている。私が他の生徒に一人作業を押し付けられた哀れな後輩の女子であると。人目がない中で黙々と片づけているぶんには平気だったその状況が、この人に見つかった途端に酷く惨めに感じられた。そして私の鬱屈した感情は刺々しい言葉となって口から溢れた。
「あの、大丈夫じゃないってわかっててどうしてそんなこと聞くんですか? 知らない三年の人に聞かれても大丈夫です、としか答えられないじゃないですか。大丈夫じゃないですー、とか言ったら先輩は何してくれるんですか? もう私は放って帰ってください」
言っている途中から涙声になった。これから残っている作業の途方のなさよりも、そんな哀れな状況に置かれていることを第三者に見られたことの方が余程泣きたくなった。
「あっ……確かに。ごめん、君の言う通りだ。大丈夫? なんて聞かれても、答えようないよね……そっか」
先輩は軽く溜息を付いた。謝るくらいなら初めから声を掛けずに通り過ぎて欲しかった。私は目に浮かんだ涙を隠すようにそっぽを向いて作業を続けようとした。
「じゃあ俺、手伝うよ」
「…………え?」
何を言っているのだろうか、この人は。一年の女子が押し付けられた面倒な作業を手伝うというのか。それも先輩の自分が心配して声を掛けながらも、憎まれ口を叩いて拒絶した後輩に。
「……だ、ダメですよ。こんなの、先輩とはぜんぜん関係ないですし……」
「いいって、二人でやれば単純に時間半分になんじゃん、大したことないって」
彼は俺、向こうからやるね。と一方的に告げて廊下の反対側に向かい、淀みない動作で掲示物を剥がし始めた。
顔も知らない二つ上の男子生徒が自分一人を助ける為だけにこんな面倒なことを引き受けてくれた現実が信じられなかった。他人にここまで親切にされたのは高校に進学して以来初めてのことで、私は涙で白む視界の中で片付けに戻った。
「ん? なんだ、まだ終わってなかったのがいたのか? って、何でお前が一年と二人で……まぁいい、お疲れさん」
今や数人だけが残る職員室に完了の報告をし、先輩と共に校舎の外へ出た。
「うわー、もう外暗くなってるし。二人でもこんなにかかるなんてなぁ」
玄関口から出ると、そこには深い青色の薄明の空が広がっていた。他の生徒は誰一人として残っておらず、ほのかな風と木の葉が地面を擦れる音だけが響き渡った。
「あ、あの……ありがとう……ござい……」
「でも良かったよ、こんな長くて退屈なことを君一人だけが最後まで背負わなくてさ。何があったかは知らないけど……君は本当に偉いよ。うん」
ようやく助けてくれた礼を言葉にできそうになったという時、先輩が言った。敷地を照らす月白色の電灯が、彼の嫌味一つない爽やかな笑顔を照らしていた。
「え、えらい……?」
「んじゃ終わったし、俺は帰るね。あ、駅まで送ろうか?」
「あ、えっと……私は自転車なので」
「そっか、じゃあね」
「あっ…………」
先輩はさっさと正門へと歩いていった。これだけ長く手伝いをしておきながら少しも恩着せがましいことも言わず、名前すら告げずに去っていた彼に。一人きりで片付けをさせられていた私に同情や哀れみではなく、偉いとだけ言った彼に、私は……
「……ど、どうしよう……」
頭の中が彼の笑顔と優しさで埋め尽くされた。そう、恋に落ちてしまったのだ。
「うん、そんなこともあったよねー」
「そんなことって、あんなに遅くまで二人で残ったのに……。先輩、初めは私の顔も忘れてたじゃないですかー」
あの日の後から、私は名前も知らなかった先輩のことを探し回った。彼は美術部の部長であり、聞くところによると部内屈指の実力にして本格派であり、校外での受賞も多々あるそうだ。文芸部に所属している私は、部室が近いこともあって美術部の友達を足掛かりにしてあれやこれやと彼の前に顔を見せる機会を作った。
「うーん、あの時は助けなきゃって思ってただけで、顔はあんま……なんかごめんね?」
だが、彼に近付ける機会が増えれば増えるほど、自分がどれだけ無謀な恋をしているかを自覚させられることとなった。あの時助けた後輩を覚えていない、それは彼が下心なしに純粋な善意で私を助けた何よりの証拠だったが、だからこそそんな彼を私のように密かに慕う者も多かった。彼女は居ないようだったが、それはあくまで彼が大学に受かるまで芸術へ専心することを公言しているからであって、いざ恋の争奪戦が始まってしまえば私よりも優位に立てるであろう女子はごまんといた。
私なんかが彼にとっての一番になれる訳がない。顔立ちがもう少し派手だったら。体付きにもう少し恵まれていたら。もう少しすらりと背が高かったら。もっと明るく愛想良く振る舞えていたら、もう少し可能性を感じられただろうか。
あの日の出来事など先輩にとっては息をするように行った行動でしかなく、決して私なんかに目をかけた訳ではない。容姿も人格も才能も全て揃っている彼は既に多くの人間の輪の中にあり、私などはその外周に佇むただの凡庸な後輩女子でしかなかった。
そしてそれを思うたび、私はこの先輩のことが少し憎たらしく思えた。あの日の優しさと笑顔ですっかり私の心を恋一色に染め上げておきながら、彼にとっての私はなんでもない一後輩でしかないというあまりの不条理に。
そんな状況にあっても私は少しでも彼の印象に残りたかった。特別な存在とまではいかずとも、女として彼に少しでも意識されるような人間となりたかった。たとえそれが、どのような手段を取ることになろうとも……
「ふー、やっと着いた……ちょっと冷房付けよっか」
今やお馴染みとなった美術部の部室。並べられ一つにまとめられた大きめの机を中央にして、石膏の肖像や様々な作品が描かれたキャンバスが所狭しと置かれており、乱雑ながらも所属する者たちの創造性と熱意が感じられるものだった。
「えっと、あれの資料は……どっかで挟んだような気がするな。ちょっと、そこに置いてるの取ってくれるかな?」
先輩は、机の端に置かれていた冊子の方を見た。手に取ると、裏には彼の名前が記されていた。私は中に挟まっていた案内のチラシだけを渡して聞いた。
「これ、先輩のですよね? ちょっと見てもいいですか?」
「うん、いいよ」
「どんなの描いてるのか、ちゃんと見るの初めてですよー」
「はは、そこのは別に大したことない奴ばっかだよ」
中を開くと、そこには数々の白黒画があった。主に描かれていたのは果実や小物などの静物や、身に覚えのある学校の周辺の風景だった。それらは彼が大したことないと謙遜したことが信じられないくらいの精度で描かれており、大胆かつ優美な筆致と陰影は芸術に疎い私にも秀逸なものだと見てとれた。
「………………えっ?!」
夢中でページを捲っていた時、信じられないものを突然目の当たりにした。それは実に写実的に描かれた女性の裸体の肖像だった。大声を出して固まった私の側に近寄った彼は、その目線の先を見てしまったと口に出した。
「あちゃー、一回だけそこに描いてたんだったか」
「えっと……これも、先輩が……?」
彼は珍しく言い淀み、言葉を必死に探しているような焦った様子を見せた。
「う、うん……俺の。前に行った講習で描いたモデルさんなんだけど……」
「えっ、もしかして……実際に目の前で見て描いたんですか?!写真とかじゃなくて……」
「こんなの美大志望は普通にやってるって!先生が高校生が安く行けるとこを教えてくれたんだよ。少しはこんな体験もしたほうがいいかなって……」
信じられない、芸術の世界では当たり前に行われていることだと知識では知っていたが、目の前の飄々とした先輩が、実在の裸の女性をまじまじと眺めてその姿を描いている光景はとても想像できなかった。
私はとても複雑な気持ちになった反面、他の者にあまり知られていない彼の側面を知ることができた……という一種の高揚感を覚えた。
「とにかく、絵のために試し行っただけだし、他の人にはあんま変に言いふらさないでね? 俺がわざわざ裸の女の人を見に行ったー、とかさ」
先輩は眉をハの字にして手を合わせて私におもねるような態度を見せた。いつも余裕のある振る舞いを見せる彼の珍しい姿を見て、私は思わずもっと弄りたくなった。
「安心してください。頭では知ってましたし、誰にも言いませんから」
「よかったー、うん、ありがと」
「でもー、本当にそっちの興味とか全くナシでただただ芸術のため! って感じで行ったってことはないんじゃないですかー? いや、私はそれで当然って思ってますし、別に悪く思ったりしないですけど」
先輩は私の意地の悪い追及にも腹を立てる様子はなく、笑って全然ないよ、とだけ答えた。果たして胸中はそうなのだろうか。彼とて十八か十七の男子だ。本当に性的な関心を一切抱かずに描いていたとは思えなかった。
「ふーん、じゃあ先輩の言い分なら……」
この時の私は、彼に恋焦がれるあまりにどこか病的な執着心を覚えていた。皆に慕われるこの清廉な芸術家の卵にも俗で本能的な側面があるということを暴き、あわよくば私だけでその事実を独り占めにしたかったのだ。
「たとえ私が目の前で脱いでも、平気な顔で描けるってことですよね?」
「…………えっ?」
「あっ…………」
彼はぽかんと口を半開きにしたまま、私の発言が信じられないかのように硬直した。しまった、ほんの意地悪な例え話を言ったつもりが、流されることなくここまで本気で受け止められるとは思っていなかった。
「えっと……ごめん、初めてで……そういうこと言われたのは」
まずい、私は意中の人から、とんでもなくはしたない女であると思われつつあった。いくら話の流れで疑ってみせていたとはいえこんなことを自分から言い出すなんて正気じゃない。とにかく、早く撤回しなければ。
「あ、あの、ほんの冗談で、本気にーー」
「……うん、描けるよ」
口にだけ微笑を浮かべた、とても真剣な顔で彼は応えた。
「えっ、それ、は……」
「よし、じゃあ金曜あたりはどうかな? 俺、部長だし実績も知ってもらってるから届け出れば活動日じゃなくても使わせてもらえるんだよね。文芸部もやってないよね?」
「は、はい……やってない、です」
「だよね。よーし、じゃあ……」
あまりに早く話が進むせいで私はオウム返しの返答しかできなかった。本気じゃなかったんです、と今更言い出せないくらい先輩はすっかりやる気になっていて、私が彼にヌードモデルとして名乗り上げたことに決定されてしまった。
「いやー、知ってる女子を描くなんて初めてだよ。んじゃ、金曜はよろしくねー」
「は、はい……よろしくお願いします……」
……とんでもない事態になってしまった。たとえどんな結果に終わろうとも、私はきっと正気ではいられなくなるだろう。
「よっ、ちゃんと来てくれたねー。嬉しいよ」
「えっと……よ、よろしく、です」
そして、金曜の放課後の時間が訪れた。これから何が行われるのか忘れた訳ではないはずなのに、先輩はいつも通り良い意味で女子を女として意識しない態度を崩さない。当の私は火・水・木とこの日をどう迎えるかに頭を悩ませていてその間に何をしていたかすらろくに思い出せないというのに。
「初めてだと同じ姿勢でいるのって大変だと思うから辛くなってきたら勝手に動いていいからねー。あとポーズにいろいろ注文つけるかもしれないけど、それはもっと映える姿で描くためだから、気を悪くしないでね」
彼は予め私を気遣って説明をしたが、それはあくまでモデルの負担や美術的側面の話であり、私がどれほどの想いでこの機会に臨んでいるかなど知る由もないという調子だった。
私は見慣れた部室の内装をこれまでとは全く異なる視点で見回した。出入り口は一つで磨りガラスも何もない扉であり、廊下からは一切内部は見えなかった。窓から見える景色は荒れ果てた裏庭の茂みと塀だけが見え、他の誰かがわざわざ通りたくなるような場所ではない。そして一見乱雑に物が置かれているように見えるが、連結された中央の机はこの日の為にか清潔に水拭きされており、女子一人くらいは横たわれるような空間となっていた。それに気づいた瞬間、部屋の隅で何かを覆っている厚手の柔らかそうな布が目に止まった。
「えっ……ちょ、何でカギ閉めるんですか……?!」
「だって、誰かに見られたら俺も君も面倒なことになるでしょ?」
面倒なこと、とは何だ。見られたら困ることとは本当に部室で女子を生まれたままの姿にすることだけなのか。そもそも裸の女子と着衣のままの男子が二人きりで居る所を見られたら確実に彼の方が重い処分を下されるだろうに、なぜこの人はこんなにも楽しげな顔を崩さないのだろうか。それとも自分なら誤解されないだけの実績と評判があるという余裕なのか。
「ま、大丈夫だって。部活以外で俺がここに籠ってる時は、誰にも邪魔されずに没頭したい時だって部員も先生方もわかってくれてるから」
だから心配しなくて大丈夫、と先輩は笑った。それはつまり、これからここで何が起きようともそれは二人だけの秘密となり、他の者に発覚する心配はない……という確約でもあった。私はそのことを恐怖すればいいのか、それとも安堵すればいいのかわからなかった。
「うん、じゃあ俺は鉛筆削ってるから……脱いどいて」
「ちょ、ちょっと……そんなの、ぞんざいですよ……!」
「あっ、ごめん。初めての女の子にそんな……じゃあ、何もしないで待ったほうがいい?」
「そ、それじゃ余計見られて……そうじゃなくて、いきなり自分から脱ぐのって何か……」
「えっと……じゃあ、俺が脱がせたほうがいいってことかな」
口が滑った私に対し、遥かに巨大な爆弾を返球してくる先輩。本当に、彼は……
「な、なな……なんですか俺が脱がせるってー!!」
「あっ違うの?いや変な意味じゃなくて、自分から脱ぐのがイヤなのかなって」
「そ、そうですけど、だからって脱がされたいなんて……」
「でも裸になるまで三通りしかないじゃん。俺が脱がしていくか、君が目の前で一枚ずつ脱いでいくか、全部脱いだ姿をいきなり俺に見せるか……どれにしたい?」
「はっ…………ハァ?!」
なんという男なんだ。これから私が取らなければいけない選択肢を羅列して、それぞれがどれだけ恥ずかしい行為であるかを私に想像させた上で、何を好むかを選べ、と。彼には無自覚な嗜虐心が備わっているのではないだろうか。まだ、こうしろと強制される方が私は踏ん切りがついたというのに。
「そ、そんなことを選べだなんて……ひどすぎます……!」
先輩は困ったように顎に手を当てて唸った。元はといえば私から言い出したことなのにもかかわらず、この程度の想定も出来ずに駄々をこねているのがどれだけ理不尽でみっともないかは自覚していたが、それでも私は半泣きで我儘を言うことしか出来なかった。
「じゃあ間を取って、全部君から脱がなくてもいいから。シャツだけは俺が脱がすよ」
「えっ…………」
先輩はここに座って、と椅子を一つ引き出して私を促した。彼はおずおずと座った私の正面にしゃがんで目線の高さを合わせ、優美な所作で両手を私の首元に近づけた。
見慣れない構造に少し手こずりながらも襟元のリボンを外した彼は、いよいよ私のシャツのボタンに手をかけた。
「あっ………………」
首元の他よりも外しにくいボタンを外す過程で、彼の手の甲が鎖骨のあたりで不規則に擦れた。彼の手の感触が肌に伝わった瞬間に思わず声が漏れたが、慌てて口をつぐんだ。
一つ、また一つとボタンが外されて、胸骨の領域が曝された。これから行われる核心的なことと比べればこの程度、なんでもないようなものであるはずなのに、この先輩の手によって私の肌を露わにされることが、私をいち女生徒たらしめる制服を剥かれてしまうことがあまりに官能的に、背徳的に感じられた。
私がこの行為にここまでの情念を感じてしまうのは、幼い頃より小説や物語を好んだために感情の言語化に秀でているからだろうか。それとも密かに好んでいた少し過激めな少女漫画の影響でこの状況に対してあらぬ願望混じりの想定をしてしまっているからだろうか。それとも肉親以外の男性にこのような形で触れられることが初めての経験なのだからだろうか。
「ひ、ひゃっ……」
そしてその手はやがて胸元へ下がってゆく。彼は心の準備を与える暇もなく、淀みなく無駄のない動作で乙女の肌を隠す白布の留め具を外していった。汗ばみ熱を帯びる肌を、高まっている鼓動を悟られぬように平常心を保とうとするも、この状況は私にそれを許さなかった。そしてついに、下着の一部までもが空気に曝された。
だが、先輩の目線は暴かれた領域ではなく、次に外すボタンへと淡々と落ちていっている。あまり体格に恵まれていない私でさえ、夏になって薄着となる時期には時折首より下のあたりに男子の視線を感じることがあるというのに、目の前で胸元が露わになっているのにもかかわらず彼は私にそんな感触を与えることはなかった。なんて紳士的な人なのだろうと思う反面、大好きな人にはむしろそのような目で私を見てほしいという欲求もあって私は少し寂しさを感じた。
そして全てのボタンが開けられた後に先輩の目線は真っ直ぐ私の顔へと戻り、笑顔を見せた。私の下着についてこんなの着けてるんだ。などとこれから描く絵に関係のない余計な言及はしなかったが、本音を言えば、彼の絵描きとしての感性で少しくらいはデザインを褒めてほしかった。今日何が起きてもいいように、慎重に選んだとっておきの下着をわざわざ身に付けて来たのだから。だが、彼は残酷なくらいに本来の目的以外に私に対する興味は見せなかった。
「オッケー、これで俺から先にしたってことで。んじゃあ後ろ向いて準備してるから、そっちも用意をよろしくねー」
一見すると何気ない発言だったが、彼が言う私がすべき用意とは、全ての衣服を脱いで待機していろと言うのも同然だった。私はまるで判決が下された後の容疑者のような面持ちで現実を受け容れなければならなくなった。
「は、はい……途中でこっち見ちゃダメですよ!」
「うんうん、わかってますって」
前が開かれたシャツを脱いだ後、左足、右足と靴下を外して素足となり、スカートのファスナーを下ろした。彼は私と反対を向いて鉛筆を削るのに集中しているのだから、脱ぐ順番も所作もまるで意味を成さない。にもかかわらず私ははしたなく見えないようにゆっくりと慎重に一枚一枚と服を脱ぎ、畳んで置いた。
男子と同じ部屋で着替えなくなったのは小学校の中学年からだ。まして今は見られていないとはいえ血の繋がらない男性と同じ空間でタオルすら使わずに全ての服を脱ぐことなど人生初の経験だ。だがそれでもやるしかなかった。時間がかかればかかるほど緊張に潰されそうだ。まして彼の声で急かされそうなものなら心臓が口から飛び出しかねなかった。
今日のために選んで着けてきた、水色が基調のブラジャー。ふわふわという形容が相応しい年相応の爽やかさと可愛らしさの中に白いレースの華やかさが混ざった、私が所持していた中では一番、好きな人に見せられるもの。だが彼は一瞥もくれることなく、無為にその役目を終えることとなった。震える手で普段より遥かに長い秒数で留め金を外し、恐る恐る隠された領域を空気に曝す。
……暑い。先輩が私のために弱めの冷房にしてくれた部室が、暑くてたまらない。たった今自分が置かれている状況が信じられない。今や他の女子や母親の前ですら特殊な機会でもない限り目の前で下着を外すことなどないのに、どんな経緯で意中の人の近くで胸を露わにしているのだろう。そうして少しの間現実逃避のように過去を振り返るも、まだ終わりでもないということを思い出して現実に戻される。
骨盤の突起の近くに手を下ろし、下着の端に指をかけた。椅子から少しだけ腰を浮かし、
背部の布だけをするりと下ろす。木製の固い作業椅子の感触を生肌で感じるなど妙な気分だ。そして膝を上下に重ね、まるで全方位どこから見られてもいいような姿勢で爪先へとゆっくりと下着を下ろしてゆき、私はついに一糸まとわぬ姿となった。
この三日間、ずっとこの瞬間をどう迎えるかを考えていた。いざこの時が来たら腹を括れて案外平静になれるのではないか、などと都合の良い想定もした。だが現実は、懸念を遥かに上回るものだった。先輩と同じ部屋で全裸になってしまった。そしてこの後彼は振り返り、私のありのままの姿を目の当たりにする。そして眺められ、その姿が彼によって絵として再構築されてしまう。
だが、それ以上に恐れていたのは自分を抑えられなくなることだった。私にとって異常ともいえるこの状況に正気を保てなくなった結果、開き直って先輩に飛び込んだりしてしまわないか、と。だがそれは私の頼みでこの機会を用意してくれた先輩の厚意を無下にすることである、と考えて私は必死で自分を制した。
「あ、あの。脱ぎましたけど……いや私がいいって言うまでそのままですよ! ポーズの要望があれば先に言ってください。立つのはさすがにその……問題が」
「君が楽で、見せても大丈夫だと思える姿勢でいいよー。微修正はするかもだけど」
「ほ、ほんとに私の好きなポーズでいいんですねっ……?」
「はは、別に君にあんま変な注文はしないってー」
ありのままを描きたいからどうか恥じらいを捨てて……などと言うタイプの芸術家気質でないことに心底安心した。丁寧に畳んだ制服の上下に下着と靴下を挟んで椅子に置き、私は部室の中央の机に上がり、腰を下ろした。そして正面から絶対に見えないよう、体育座りを崩したように足を交差させ、右肘から先で胸を隠した。
「ど、どうぞ……もう、向いていいです」
「お、終わった?」
先輩は背後で全裸となっているはずの女子がいる方へ、躊躇いも緊張も見られない自然な調子で素早く振り向いた。
「ん、オッケー、んじゃあそのまま……あんま時間はかかーー」
「あっ……ま、待ってくださいっ……!」
「へっ?」
彼が鉛筆を持った瞬間に、肝心なことを忘れていたのを思い出した。そもそもなぜ、私が先輩の前でこんな姿になることになったかを。
先輩が学外の絵画教室で目の前の裸の女性を描いていたことを知り、こんな彼にも僅かばかりの性的な好奇心があったのではないかと疑い、否定した彼に対して言葉の弾みでじゃあ私の裸も平気で描けますよねと言ってしまったからこんな状況に追い込まれたのだ。
ならば彼の前で全裸にまでなった今、ここまできて中途半端に日和って本来の目的を有耶無耶にすることなどできなかった。あの時のスケッチの女性は立ち姿で陰毛まで堂々と晒しているのだ。私だけが縮こまって身体を隠しているのはとても同じ状況とは言えなかった。
「…………んっ……」
息を飲み、ゆっくりと胸を覆っていた右腕を動かす。そして隠されていた領域は先輩の目の前で露わとなった。そして腰を少しひねり、左手をうなじに、右手を机に着いた。
「………………」
私の行動は流石の先輩でも予想外だったようで、無表情のまま少し目を見開いている。シャツを脱がされていた時と違い、彼の視線が私の同世代の女子と比べても少しばかり小ぶりな胸にずっと留まっているのを感じる。私の上半身の全てが今、一切の障壁もなしに意中の人に見られている。
「……それで、良いんだね? わかった、君の望み通りに」
そして彼は今度こそ鉛筆を取り、白紙のスケッチブックに描画を始めた。
先輩は本腰を入れて描き込む前に、何度も視線を冊子と私の間で往復させる。時折、手で枠組みのようなものを作ったり、指で私の身体の何かを測るような素振りを見せるが、それが何のために行われているのかは私には検討も付かなかった。まるで私の裸体をとことんまで分析されているような恥ずかしさがあり、とても平常心ではいられない。
こんなことなら、目を瞑った状態で描いてもらえばどれだけ良かったことか。目蓋の暗闇に逃げられない私は、視界の端に映る自らの生肌も、それを見る彼の顔も全て見ることとなり、思考を停止しようにも眼前の光景によって自分がどんな状況にあるかという現実を思い知らされる。うなじにあてた左手に、自然と力が込められてしまう。
「大丈夫?」
「…………えっ?」
「いや、なんだか辛そうな顔してるから」
「あっ、やっ……すいません」
「いやそのままでいいよ。心配しないで、ちゃんと君に喜んでもらえるように描くからね」
「ち、違いますっ。気にしないでっ! ……ください」
なんて愚かなのだろう、私は。自分から裸になるのを志願するようなことを言い出し、自分から胸までも曝け出したのに。未来の芸術家であろう彼が私の要望に機会を作ってくれたのに、不満げな顔でいることを指摘されるなんて。私はどんどん彼にとって面倒で不可解な女子となっていく。それがたまらなく悲しくなり、目の奥が熱くなって涙が右頬を伝った。
「……綺麗だよ、君は」
唐突に、彼が私の目を見つめて言った。キレイ、聞き慣れたその言葉の意味を脳の辞書から参照するのにやけに時間がかかった。私に向けられた表現だと信じられなかった。
「…………えっ?! ……い、いい、です。そんな、お世辞なんて」
「違う、俺の心にないこととか、君の皮一枚だけを見て言ったことだと思ってる?」
「それは……どういう」
「初めてこういうことする前に、教室の先生に言われたんだよ。写真の模写みたいに、表層だけを写し取ろうとするなって。目の前の人間の僅かなしぐさや表情を見て、その内面までを想像しろって」
「そ、そんなの……私は、そんな……」
「知ってる? 美術でお世話になるヌードモデルさんって心も体も訓練したプロの人たちなの。楽に見えるポーズも何十分も止まったままってのは辛いらしいし、裸を見られることだってきっと初めから平気だったわけじゃない」
「…………!!」
「簡単だとタカくくってたのを実際やってつまづくなんて俺にだってしょっちゅうある。初めてやる君が平気なわけないよ。俺みたいな男とここで二人きりなんて怖いだろうし、そんな中で落ち着けるなんて……」
「ち、違います、私、先輩となら……」
「それでも君は、心を頑張って抑えて俺のためのモデルになろうとしてくれてる。きっと腕も脚も辛くなってきてるだろうに精一杯動かないでくれる」
「だ、だって……私が無理言って頼んだことですし、そうしなきゃ……」
「もしかして、後輩に頼まれたから仕方なく描いてやるか―、なんて半端な気持ちで俺が描いてると思ってる?」
「えっ……?」
「あの時、君には他と違う何かを感じた。だからここに呼んで描こうと思ったし、今日来てくれてホント嬉しかった。じゃなきゃわざわざこんな用意なんてしないよ」
「せ、先輩……で、でも……」
「で、その何かは君のマジメで意志が強いとこだった。俺が自分から描きたくなるのは、俺が美しさを感じるものだけ。もう一度言うよ。君は綺麗で、最高のモデルさん」
お願いだから、それ以上言わないでほしい。私のことを褒めるのは作品を描き終えた後にしてほしい。今、あなたからそんなことを言われたら私は私を抑えられなくなる。先輩のためのモデルでいられなくなってしまう。
「や、やめて、ください……! そんな……」
「えっ、ど、どうしたの……?!」
「なんでぇ、いまそんなこといぅぁぁ……!!」
最後まで言えないまま、衝動的に両手で顔を覆った。こんなにも私が望んでいた言葉なのに、こんなにも嬉しいはずなのに、意に反して涙が溢れ出し、モデルの役割を投げ出して泣きじゃくるのを止められない。物心ついてからの約十年間に少しずつ蓄積してきた劣等感と鬱屈を、先輩に恋心を抱いてからは急速に肥大化していったその暗く重い感情を、その本人が取り去ってくれた。こんなにも巨大な幸福に、笑顔でありがとうとは返せなかった。
先輩は嫌な顔一つすることも、涙の訳を追及することもなく優しく私を落ち着かせてくれた。流れた涙と共に、この状況に対してずっと感じていた緊張も羞恥も私の心から少しずつ流れ落ちていった。
「ぐすっ……ご、ごめんなさい。もう、大丈夫そうです」
「うん、よかった。さあ、続けよっか。君が見て辛くならないように、顔については普段通りの感じで描くから……」
「い、いえっ! 今の私のありのままを描いてほしいんです。涙の跡まで、ぜんぶ」
「えっ、それでいいの?」
「はい。この時の想いも心も、ぜんぶ思い出せるように残してほしいんです。私に遠慮しないで、先輩の目に映る姿を描いてください」
そうして、中断された写生は再開された。どうしたのだろう、私は。先程まで感じていた重苦しさは嘘みたいに感じられなくなった。そうか、これまであんなにも動揺していたのは単なる羞恥心とか、初めての体験だからではなかった。私は怖くてたまらなかったのだ。自分の姿をどう思われるのか、大好きな人に失望されてしまわないかどうかを。ずっと自信が持てなかった自分の容姿を、他人の評価基準に当てはめられたくなかったのだ。
だがそんな懸念は、芸術家としての先輩の人格を過小評価していたものだった。彼にとっては人の容姿の整然さも歪さも、豊かさも貧しさも美のほんの表層に過ぎないもので、その目には振る舞いや内面までを含めたその人間の存在そのものが映っているのだろう。私は愚かにも、芸術を好む彼だからこそ私の外見を厳しく評価するに違いない、という全く逆の不安を抱いていたのだ。
少しずつ悲鳴を上げ始める腕や脚の感覚も、今や私に全く苦しみを与えない。さっき泣き出した時に不意に脚を動かしてしまったかもしれないが、それを考えても何も思わなかった。私という存在と向き合って綺麗と言ってくれた人に見られるのならば構わない。つい二十分ほど前まではシャツを脱がされることすらあんなにも恥ずかしかったのに、人の心理の変化とは不思議なものだ。
先輩の視線の動きはやがて規則的となり、胸、腹、脚、顔と徐々に見る部位が変化してゆくのを感じる。いよいよ細部に取り掛かったのだ。どのような完成品となるのだろうと思ったが、どんなものでも彼が描いたと思えば愛おしく綺麗なものだと思えるだろう。他ならぬ彼が私を美しさを感じるものだと言ってくれたのだから。
「……ふぅ。お疲れ様、描けたよ! んじゃまず後ろ向くから、着替えておいて」
「は、はいっ……いっ?! いったた……!」
長い間止めていた身体を動かした瞬間、今まで感じなかった痛みと痺れが全身を襲った。まるで長い冬を経て氷解したかのような熱い血流の流れを手足の末端に感じた。
椅子に置いていた衣服を手に取り、服を着始めた。脱衣する時と違い、真っ先にスカートを履いた後に下着を履いた。考えてみれば私の胸を目の当たりにした先輩も、私がどんなものを履いていたのかは知らないのだと気付き、不思議な気分になった。いや、上に着けていたものから色とデザインは推測できるだろうが、きっとそんなことはしないだろう。
そして私はこの部室へ入った時と同じ状態に戻った。元通りに制服を身に着けると、先程までの先輩の前で何も着ていない姿を見せた数十分がもしかしたら白日夢なのではないかと感じてしまう。だが彼がこれから見せる作品が、それが現実であることを証明するだろう。
「もう大丈夫ですよ。描けたのを見せてくれますか?」
「よし、じゃあいくよ……」
「………………!!」
「ど、どうかな……?」
「え、えっと……な、なにから、言えば……」
そこに描かれていた作品を見た瞬間、再び涙が溢れてきた。
「せ、先輩から見た私って、ほんとにこんな綺麗でしたか……?」
そこに描かれていた少女は全体的に淡く優しい濃淡で描かれていた。首の高さほどに切り揃えられた髪は艶っぽく光を反射しており、片腕を上げて座る身体にはほっそりとした肉付きで品の良い均整と曲線美があった。そして顔は黒目がちの意志が強そうな眼と小さく一文字に結ばれた口が可愛らしく、眉は微かに顰められ涙の跡があるのにもかかわらず、その表情はどこか憑き物が落ちたような笑顔を見せていた。
「君が頼んだだろう? ありのままに描いてって。だからウソは付かないよ。俺が君から感じたことに、ね」
「ありがとう、ございます……本当に、嬉しい」
本当に、私は幸せ者だ。今、一番好きな人にここまでのことを言われて、こんなに素晴らしく自分を描いてくれるなんて。まじまじとその作品を眺めた後、私の頭の中に一つの決意が生まれた。
「先輩は……これから何回頼んでも今日みたいに描いてくれますか?」
「ああ、描くよ」
「どれだけ私が近くにいても、どんなポーズでも他に何もしませんか?」
「ああ、もちろんだよ」
その返答に私は斜め下に目線を落として苦笑した。だが不思議と悲しくはならなかった。初めからわかっていたことで、今となってはこれでいいのだ。
「……先輩ならそう言うってわかってました。だから……描いてもらうのはこれで最後にします」
「えっ、ど、どういうこと?」
「私ほんとに、本当に大切にします。この絵も、今日の思い出も。大切すぎるから……このままにしておきたいんです」
この絵が、先輩がくれた言葉が最高の贈り物だ。それ以上に何を望むというのか。
「……ああ、俺にもなんとなくわかるかも。そう感じるの」
「ふふっ……だから充分なんです。私にとってはこれが最高の一枚ですから」
「うん、俺も卒業する前に君を描けてよかった」
その言葉を交わした後に、先輩と夕暮れの日差しが差し込む部室で見つめ合う。描く者と、描かれた者が余韻を味わうように、相手の帰りを惜しむように何も言わずに二人きりの空間を長引かせる。今、この高校で一番甘い時間の中にいるのは私だと思うのは、決して思い上がりではないだろう。
「……今日はありがとうございました。これ以上いるのもなんですし、私はそろそろ帰りますね」
「ああ、気をつけて帰ってね」
先輩は部室を開錠して、外開きの扉を支えたまま私を促した。私は廊下に出た後、振り返って先輩に言った。
「…………先輩、好きです。……先輩の絵が」
「ありがとう、嬉しいよ」
「先輩の絵一枚だけを見て言ってるんじゃないです。絵への考え方も、向き合い方も、絵に誠実なところも、絵を描いている姿も……ぜんぶ好きです」
いつものような笑顔でいた先輩が、その言葉を聞いて少し驚いたような表情を見せた。
「あっ……と、とにかく、先輩はきっと凄い人になりますよ! さよならっ!」
私は先輩の返事も待たず、黄昏の空が見える廊下を駆け出した。
虚勢と嬌態で叶えられる恋よりも、等身大の私を肯定する言葉。
やがて冷めて傷跡となる情熱よりも、不朽の作品と優しく温かい思い出。
本来の望みは叶わぬも、今やそれよりも尊い宝物が私の手の中にある。だから……
…ここが終着点だなんて、悟ったようにこの恋物語を締めくくろうとしても、
結局、あなたを求めてしまうのを止められないのは乙女の性なのでしょうか。
大好きな先輩に一糸まとわぬ姿を描かれることになった私ですが。 ネイト二世 @Nate2sei
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