空より堕ちた兵士よ、その眼に映りし世界よ

 ピックアップでたまたま目に入った。そのままこの小説のページを開いてみたが正解だった。気が付いたら、終わりまで一気に読まされていたのだから。

 小説の内容は、ざっと、とある兵士の一人称、短篇。愛機を失い、陸へと降りたパイロットの話である。短篇ならではの、読後感、読み切り感。誌の引用による世界の広げ方。ことば遣い。出てくる単語の選び方。余韻。
 
 ええい、そんなことはどうでもいい。兵士の目線で語られていく情景を「体験」してみようではないか。ストレスのかかる死が隣合わせの場所である。きみは想像できるか? なれど、感情的にならずに淡々とした語り口だからこその迫力がある。
 ――と、説明するよりも、いうべきことがある。
 
 まずは一読あれ。