小さな世界の片隅にふたりきり
- ★★★ Excellent!!!
大きな手術の後遺症のせいで、クラスから浮いてしまった小学生男子のお話。
王道のボーイミーツガール、少年の日の淡く小さな恋の物語です。
なんですけど、でも作中のところどころに現実とはかけ離れた、なにか幻想的な現象や出来事があるところが個性的。
タグの「マジック・リアリズム」「スペキュレイティブ・フィクション」に偽りなし、独特の物語世界のありようが、不思議な読み心地となって深く印象に残ります。
物理的・現象的にはファンタジックな出来事が発生していながら、しかし描かれている物語そのものは決してファンタジーではないところがとても好き。
わたしたちの生きる日常と地続きの、いやそれそのものとまったく同一の、小さな恋の物語。
クラスの中、いじめというほどでなくとも、はみ出しものになってしまうことの寂しさや苦しさ。
同じ立場のふたりが惹かれあい、心を通わせること。
ほの切なくて、甘酸っぱくて、なんだか悶えたくなるような何かがいっぱい詰まっていました。こういうの大好き。
あからさまに不思議でありながら、でもある種日常的でもある、とても素敵な物語です。
少年と少女の物語が好きな方は是非。